【ヤマハ マジェスティS 試乗】かつてのブーム牽引役の子孫は、今や“俊足コミューター”に…青木タカオ

モーターサイクル 新型車
ヤマハ マジェスティS
ヤマハ マジェスティS 全 24 枚 拡大写真

かつてビッグスクーターブームを牽引した「マジェスティ」だが、その子孫はまだ生き残っている。本家250cc版は生産終了となってしまったが、155ccエンジンを積む『マジェスティS』があるのだ。

街乗りでより扱いやすいコンパクトな車体サイズながら、ボリュームのあるフロントカウルにショートスクリーンを備え、リアカウルも膨らみがあって見る者に“マジェ”の血統を感じさせる。

台湾など海外では『SMAX』として売られ、国内には2013年に『マジェスティS XC155』として登場。2014年度には軽二輪出荷数1位を記録する人気ぶりだった。

最新18年モデルではフロントフェイスを一新するモデルチェンジを果たし、ヘッドライトをLED化。ヤマハは価格帯もほぼ同じに『NMAX155』をラインナップするが、そちらはセンタートンネルを跨ぐようにして乗り、全長1955mmの凝縮感のあるスタイルとする一方で、『マジェスティS』はフルフラットな足もとで、全長2030mmとロングフォルムを踏襲している。

シート下のトランクを比べても『NMAX155』は容量約24リットルの収納力だが、『マジェスティS』は約32リットルと、より実用性を重視。フロントポケットも容量約2.6リットルと広く、可動式アルミ製コンビニフックや12VのDCジャックも備わり、使い勝手が良い。

足まわりは前後13インチで変わらないが、『NMAX155』はフロントタイヤが若干細く、『マジェスティS』の方がハンドリングは安定志向で穏やか。サスペンションも『マジェスティS』はソフトによく動き、路面追従性に優れる。シャキッとした乗り心地を好むなら『NMAX155』、まったり緩く乗るなら『マジェスティS』を選ぶといいのだろう。

SOHC4バルブエンジンは全域で力強く、信号待ちからのダッシュも鋭い。3000回転弱で遠心クラッチが繋がり、そのままアクセルを開け続ければどんどん速度を上げていき、クルマの流れをリードするのも容易い。ちなみに車両重量は145kgで、『NMAX155』より17kgほど重いが、体感的には動力性能は互角だ。

このキビキビした走りと扱いやすい車体サイズに慣れてしまうと、もはや一昔前の250ccスクーターが大き過ぎると感じてしまってならない。原付2種以上、ビッグスクーター未満のこのクラスは、まさに“今どき”のシティコミューターであり、このクラスで颯爽と街乗りする通勤ライダーがスマートに見えるのは、筆者だけではないはずだ。

■5つ星評価
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
コンフォート:★★★★
足着き:★★★
オススメ度:★★★★

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタ RAV4 新型の価格は390万~630万円と予想…電動グレード体系に再編
  2. ホンダ N-BOX など7車種1万2653台リコール…過去の改善措置が不適切
  3. スズキ『ジムニー』、フランス最終モデルは55台限り…6月末に発売へ
  4. メルセデスの名車「190E エボ2」が復刻! 限定100台の「HWA EVO」にハンコック純正装着
  5. メルセデスベンツの万能車『ウニモグ』がキャンピングカーに! 数日間の自給自足が可能
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  3. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  4. コンチネンタル、EVモーター用の新センサー技術開発…精密な温度測定可能に
  5. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
ランキングをもっと見る