【ホンダ レジェンド 試乗】スポーツサルーンとしての熟成は進んだが…丸山誠

試乗記 国産車
ホンダ・レジェンド改良新型
ホンダ・レジェンド改良新型 全 12 枚 拡大写真

北米を中心に展開している、ホンダのプレミアムブランドのフラッグシップサールンがアキュラ『RLX』。その日本向けの仕様が『レジェンド』なのはご存じのとおり。

【画像全12枚】

RLXのマイナーチェンジに合わせ、レジェンドも変更されたのだが実車を見ると、どうもフロントグリルが目立ちすぎているように見える。この点をデザイナーの金井紀成氏に聞くと、じつはこれが狙いどおりらしい。

「変更前はのっぺりした感じで迫力という点が足りていなかった」と金井デザイナー。確かにツルンとした感じだったが、マイナー後はアキュラが展開する新世代の5角形「ダイヤモンドペンタゴン」のグリルが飛び出して見えるほどの存在感。アグレッシブにも見えるデザインこそがデザイナーの狙いだという。
ホンダ・レジェンド改良新型
マイナー前はブルーに輝くLEDジュエルアイヘッドライトが特徴的だったが、バンパーラインに沿うようななだらかな逆台形のフロントグリルは、確かに印象的ではなかった。プレミアムサルーンでもとんがったところがないと生きていけない時代だ。次期『クラウン』も現行型よりさらにアグレッシブなグリルに生まれ変わったから、プレミアムセグメントのレジェンドもこれくらい個性的なほうがいいのかもしれない。

ヘッドライトはジュエルアイLEDを踏襲し、その下側にはレクサスを思わせるようなL字型の導光LEDポジションランプ採用。従来のブルーに光るデイタイムランプがなくなってしまったのは残念だ。LEDのリヤコンビランプは、太さの違うラインを流れるように組み合わせ、ナイトドライブでレジェンドとひと目でわかるデザインになった。

小雨が降る状況での試乗で路面はとても滑りやすかったが、この状態でもワインディングロードでの走りを楽しむことができるのがAWDのレジェンドらしいところだ。スポーツモードにセットしてパドルシフトを使って走ると、プレミアムサルーンであることを一瞬忘れてしまうほど軽快にコーナリングできる。それも4輪が多少滑るようなりながらもスムーズに旋回するのには驚いてしまう。多少滑ってもスタビリティシステムがすぐに介入することがなく、ステアリングで狙ったラインを確実にトレースできる。
ホンダ・レジェンド改良新型
やはり「SH-AWD」のアジャイルハンドリングアシストは、すばらしいハンドリングを実現している。ターンインでコーナー内側前輪にブレーキをかけて旋回性を向上させ、立ち上がり時には外側後輪に積極的にトルクを配分することで、コーナリング性能を向上させている。多少滑りやすい路面状況下でもコントロール性が高いのが魅力的だ。そんな状況でもステアリングを切り増すとイン側にラインを変更できる余裕がある。もちろんタイヤのグリップ以上のことはできないが、スポーツサルーンらしく積極的に曲がるのが気持ちいい。

この駆動力配分の状況をヘッドアップディスプレイで確認できるのも、ドライビングを楽しくしているポイント。コンソールのディスプレイにも駆動配分は表示可能だが、とてもコーナリング中には確認できない。だがウインドーに表示されることで、コーナリング中にどのタイヤに駆動配分されているか容易に確認できる。

パドルシフトは操作に対する変速が早くて気持ちいいが、パドルに爪が当たるとプラスチック音がしてしまうのが、プレミアムらしからぬ点だ。パドルをマグネシウムやチタンなどの金属製に変更すれば、音だけでなく手ごたえももっとしっかりするはずなのにちょっと残念。それにスポーツサルーンとしての熟成は進んだが、惜しい点が乗り心地だ。それも一般道での常用域で気になるから困る。

一般道を50km/h前後で走ってマンホールなどの突起が連続すると、サスペンションだけで吸収できずにボディが揺さぶられ、乗員にけっこう直接的なショックが伝わってくる。レジェンドはコンベンショナルなサスペンションを採用しているが、操縦性と乗り心地を両立させるには、やはり電子制御サスペンションの採用が必要だと思う。
ホンダ・レジェンド改良新型
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

丸山 誠|モータージャーナリスト
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。プリウスでキャンピングトレーラーをトーイングしている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

《丸山 誠》

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