雪道でドリフト走行する日立オートモーティブのCASE技術…東京モーターショー2019

VRシアター:リスク予測機能の自動運転を疑似体験
VRシアター:リスク予測機能の自動運転を疑似体験全 17 枚

日立オートモーティブは、モーター、センサー、ECU、アクチュエーターといったCASE車両に欠かせない技術展示を行っている。同社は、スバルのアイサイトを共同で開発したサプライヤーとして知る人も少なくない。

東京モーターショー2019でのブースは、ECUやEV用の電気モーター、アクティブ制御ダンパー、電動パワーステアリング(EPS)、ミリ波レーダー、ステレオカメラなどのモデル展示でにぎわうが、中でも体験すべきはスペースの一画に設けられたVRシアターだ。このシアターでは、VRゴーグルで、最先端の自動運転カーのドライビングを体験しながら、展示技術の近未来の姿を見ることができる。

じつはVRシアターに使われているシミュレーション技術は、同社が自動運転技術やECUの開発にも利用されているものだ。実際、シアターは、理経、VMC、ZENRINといった企業の協力の元作られている。理経やVMCは、実際の道路や自然環境の3Dモデルデータとシミュレーションソフトを組み合わせ、自動車向けの高度なシミュレーターを手掛けている企業だ。

VRシアターで体験できるのは、日立オートモーティブが研究開発している次世代の自動運転技術、車両のモーションコントロール技術だ。次世代の自動運転というのは、よくあるレベル4や5といった方向ではなく、自動運転にリスク検知の機能を追加しようというものだ。現状の多くの自動運転やADAS技術は、先行車、対向車、歩行者、壁など障害物の検知がメインで、制御は停止が基本となる。

同社が目指すのは、「デブリ」と呼んでいる路上の一時的かつ小さい障害物、進路上の停止車両を、運転上のリスクとして検知し、安全に回避するルートを見つけ出す技術だ。プロパイロット2.0の自動追い越し機能はそれに近いが、路上の落下物、落石、突発的な陥没などに対応する技術を開発している。

舗装が荒れた路面は、じつは凹凸の検知が難しい。人間の目でもそうだが、対象の印影だけでは、それが穴なのか出っ張っているのかわからないことがある。同社は、この検知も研究している。穴によっては停止や回避という制御が必要になるが、アクティブサスをうまく制御(ダンパーの伸び方向を強くする)して、段差やへこみによる衝撃を和らげる制御も研究しているという。

モーションコントロールの研究では、通常のステアリング制御によるコーナリングだけでなく、突発的なミューの変化にも追従対応する技術を開発している。峠道など部分的に凍結している路面があっても、自動運転や運転支援を継続できるようになる。

この技術は、いわゆるスタビリティコントールの技術を自動運転にも適用するアプローチともいえる。スリップやスピン(アンダーステア、オーバーステア)を検知したらブレーキやアクセル、ステアリングを調整し、姿勢を維持する。わかりやすくいえば、自動運転中でも、凍結路や雪道で修正ハンドルを実現したり、カウンターを当てながら走行したりできるようになる。

VRでは、未来の自動運転カーに乗りながら、いま説明したような状況が再現される。VRで車両が駐車車両をよけたり、凍結路面で姿勢制御される状態を体験できる。雪道での走行実験は、すでに北欧で行われており、80km/hのハンドオフ運転は可能だという。ハンドオフでなくても、姿勢制御支援をしてくれるなら、雪道でのストレスは軽減されるのではないだろうか。

走行実験はインフィニティを使っていた。プロパイロット3.0か4.0くらいで実用化してくれないだろうか。

《中尾真二》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
  2. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  3. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  4. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
  5. 【BYD シーライオン7 新型試乗】全幅1925mmの堂々サイズも「心配無用」、快適性はまさに至れり尽くせり…島崎七生人
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  4. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  5. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
ランキングをもっと見る