三菱電機 杉山社長「組織的に受け継いできた不正行為だったと認めざるを得ない」

不適切検査の対象
不適切検査の対象全 3 枚

三菱電機は7月2日、鉄道車両機器などの不適切検査問題についての記者会見を開催。その中で杉山武史社長は、「多大なるご迷惑とご心配をおかけした」と陳謝するとともに、引責辞任をすると発表した。

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「当社は今年2月に創立100周年を迎えた。しかし近年、労務問題や不正アクセス問題など、異なる性質の問題が立て続けに発生し、皆さまの信頼を大きく毀損した。社長として厳粛に受け止めるとともに、責任を痛感している。私が社長の任にあり続けることが、お客さまや株主、従業員、すべてのステークホルダーから理解が得られるのかどうか何度も自問した。結論として、社長の職を辞し、新たな体制で信頼回復に取り組んでいくことが必要との判断に至った」

こう述べた杉山社長は会見前夜の1日夜に辞任することを決断した。辞任の時期は明らかにしなかったが、速やかに後任社長を選び、新たなトップの下で一連の検査問題を調査し、再発防止に向けた対策を実施していくという。それまでは自身が緊急対策室の室長を担当するが、今月中には後任社長が決まる見通しだ。また、検査結果は9月に発表し、その時に他の役員や当事者などの処分も行うそうだ。

三菱電機は1952年に「品質奉仕の三菱電機」という社是を定めたものの、不適切な検査は1985年から35年以上にわたって行われていた。そのうえ、偽装するプログラムの存在も明らかになっている。そのため、質疑応答でも、その点に関する質問が飛んだ。

それに対して、杉山社長は「長い間続いたということは、組織的に受け継いできた不正行為だったと認めざるを得ない」と述べ、「品質は第一だと訴えかけてきたが、社内の常識で品質基準を運営していた。自らの技術力や品質の考え方を絶対視し、自分たちの基準でいいのだという、おごりがあった」とした。

鉄道用の空調装置は通常、鉄道会社など取引先が指定する検査をして報告する必要があるが、そのようにしようという気配は全くなかったそうだ。不適切な検査を行った長崎製作所では、1985~2020年に空調設備を国内に約6万8800台、海外に約1万5800台、計約80社に出荷した。また、空気圧縮機は国内に約1500台、約20社に出荷した。

三菱電機は18年に子会社のトーカンでゴム製品の不適切検査が発覚したのを受け、グループ全体を対象とした一斉点検を行った。そこで見つかったのは鋳鉄製品の強度不足のみあった。しかし、今回また新たな不適切検査が発覚したわけで、三菱電機の調査と再発防止策の甘さを露呈した格好だ。

やはり事業部門の利益が会社全体や顧客よりも優先される縦割り組織で、自浄作用が働きにくい体質だったのだろう。しかも、電機業界はバブル崩壊以降、厳しい状況に直面し、各社がリストラなどに着手した。三菱電機も半導体事業などのリストラを行った。その結果、各事業部門は組織の生き残りのために、さらに効率性を求めた事業運営を目指すようになり、利益を生まない検査は重要視されなかったわけだ。

そうした体質が一連の不適切検査を続けた背景にあり、その体質を変え、信頼を回復するまでには相当な時間が必要となりそうだ。

《山田清志》

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