スズキとダイハツ、CJPへの参画を決断…軽メーカー2社長それぞれの思い

向かって左からトヨタ自動車の豊田章男社長、ダイハツ工業の奥平総一郎社長、スズキの鈴木俊宏社長、CJPTの中嶋裕樹社長
向かって左からトヨタ自動車の豊田章男社長、ダイハツ工業の奥平総一郎社長、スズキの鈴木俊宏社長、CJPTの中嶋裕樹社長全 5 枚

スズキとダイハツ工業は7月21日、商用事業プロジェクト「コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ(CJP)」に参画すると発表した。その記者会見には、鈴木俊宏社長と奥平総一郎社長のほか、トヨタ自動車の豊田章男社長も出席した。

トヨタは今年4月、商用車の技術開発などを目的とした共同出資会社「コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(CJPT)」を日野自動車といすゞ自動車の3社で設立。そこにスズキとダイハツがそれぞれトヨタからCJPTの株式を10%譲り受けて参画する。

「CJPの会見を見て、大型トラックの物流拠点を結ぶだけでなく、物流拠点とお客さまの家まで結びつけることで、より社会が豊かにできるのではないかと思った。そのためには、商用車の58%を占める軽商用車も参加しなければいけない、参加することでもっと世の中に貢献できるのではないかと考えた」と鈴木社長は話す。

一方、奥平社長は「軽自動車のお求めやすい価格を維持しながら、CASE技術の普及、CO2を現状よりさらに低減していくことは並大抵のことではない。これらの課題を単独で対応することは非常に難しく、業界の枠を超えた取り組みが必要だ。そこで、以前から鈴木社長とは、お客さまのために一緒にできることがないかと議論を重ねてきた。そこへ豊田社長から今回の話があった」と説明する。

今回、CIPにスズキとダイハツが加わり、協業体制を軽自動車まで拡大することで、大型トラックから軽商用車まで一気通貫での物流効率化、また、スズキ、ダイハツの良品廉価のものづくりとトヨタのCASE技術を生かして、廉価なADAS(先進運転支援システム)や電動化の普及に向けた取り組みを一緒に進めていく。

例えば、電動化では、電動ユニットなどの技術協力を実施し、開発リソーセスを集約することで、廉価で魅力的な軽の電動車の開発にチャレンジする。「うちの相談役の鈴木修は、軽自動車をサイズや排気量、お求めやすい価格などさまざまな制約の中でつくり上げられた“芸術品”と表現した」と鈴木社長は話し、「電動化でも、バッテリーの量を減らしながらどうやって走らせることができるのかなど、芸術品をさらに進化させていく」と強調する。

また、コネクティッドでは、これまで把握しきれなかったお客の声の吸い上げや、トラックからラストワンマイルと担う軽商用までをつなぐデータを含めた基盤を構築する。これによって、物流全体の効率化やCO2の削減を実現していく。

「スズキ、ダイハツの両社が一緒にやることで、7割近い軽ユーザーの現実を知ることができる。そこに、トヨタのCASE技術を使って、軽をさらに進化させ、人々の暮らしをもっとよくするためのお手伝いができるのであれば、こんなに嬉しいことはない」とは豊田社長。

カーボンニュートラル実現の実現のために、世界中の自動車メーカーが一気にクルマの電動化に舵を切った。しかも、そこにIT企業も加わっている。その競争に勝ち残っていくためには、電動車両をいかに安くつくるかがカギとなる。その意味で、CJPにスズキとダイハツが加わったことは大きいと言えそうだ。

《山田清志》

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