ツイーターは取り付ける場所で音が変わる[プロショップでスピーカー交換]

ツイーターをダッシュボードの上に取り付けた例(フォーカル・デモカー)。
ツイーターをダッシュボードの上に取り付けた例(フォーカル・デモカー)。全 6 枚

当特集では、「スピーカー交換」をカーオーディオ・プロショップで行うことを推奨し、専門店でこれを実行する利点とその手順を紹介している。当回では、高音再生のスペシャリストである「ツイーター」の取り付け方について解説していく。

「ツイーター」は、高い位置に取り付けた方が音的に有利!?

ところで、「スピーカー交換」を実行するドライバーの多くは「セパレート2ウェイスピーカー」を選択する。ちなみにもう1つの選択肢となるのはミッドウーファーの同軸上にツイーターが取り付けられている一体型スピーカーである「コアキシャルスピーカー」だ。で、こちらにもこれならではの利点が備わっている。取り付け作業に手間がかかりにくく(コストもかかりにくい)、音の出どころが一箇所となるのでサウンドのまとまりも良い。

しかし、人気が高いのは「セパレート2ウェイスピーカー」の方だ。なぜならこれには、それを上回るメリットがあるからだ。利点は主には2つある。1つは「機種が豊富なこと」だ。どのメーカーも「セパレートタイプ」の方をたくさんラインナップしているので、こちらに目を向けた方が選択肢が幅広い。そしてもう1つの利点は「サウンドステージを目前に展開させやすいこと」だ。

これがどういうことなのか説明していこう。音は、音程が高くなるに従って真っ直ぐに進もうとする性質が強くなる。逆に音程が低くなればなるほど、障害物を回り込んで進もうとする性質が強くなる。そして、音程が高い音ほど、音の出どころが分かりやすくなる。逆に音程が低くなるほど音の出どころが分かりにくくなる。

で、「セパレート2ウェイスピーカー」は、ツイーターを高い位置に取り付けられる。そうすると、高い位置から放たれる音は高音だけなのにもかかわらず、中低音も高い位置から鳴らされているかのように錯覚する。中低音は出どころが分かりにくいので、高音に引き上げられるような現象が引き起こされるのだ。このような結果を得るためには、高音と中低音とが上手く一体化している必要があるのだが、それが実現されていると、ツイーターを高い位置に取り付けることでこのようにサウンドステージ全体が目の前で展開されることとなるのだ。

ツイーターを純正位置に取り付けた例(ダイヤトーン・デモカー)。

純正位置に埋め込めるとインテリアの見た目が変わらない。しかし…。

かくして「セパレート2ウェイスピーカー」ならツイーターを高い位置に取り付けられるわけだが、具体的な装着位置の選択肢はいくつかある。ざっくり、選択肢は主に3つある。

1つ目の選択肢となるのは、「純正位置」だ。なお純正位置に埋め込めると、インテリアの見た目が変わらない。なので後付け感を嫌うのであれば、純正位置は取り付け場所の候補の筆頭となり得る。

しかし、実際は純正位置に埋め込むのが難しいケースの方が多い。ツイーターがある程度大きくなると大掛かりな改造が必要になるので、コスト面で現実的ではなくなってくる。また、大きさ的には問題なくても、純正位置に収めるためには取り付けステーが必要になる場合も多い。なので、純正位置に埋め込みたいと思ったときには、それを可能とするステーが同梱されたモデルの中からスピーカーを選びたい。そうすれば、取り付け費用が少なくてすむ。

ちなみにカーオーディオ・プロショップでは、取り付け用のステーをワンオフすることも可能だ。そうするとコストは相応にアップするが、純正位置に埋め込みたいという希望は叶う。相談する価値は大いにある。

ただし純正位置は、音的には不利な場合もある。国産車では、純正位置がダッシュボードの左右の端である場合が多く、そうであると音響的なコンディションはあまり良くない。なぜならば、ツイーターから放たれる音を直接聴くことが難しくなるからだ。その場所に埋め込まれているとツイーターは真上を向くので、真っ直ぐに進もうとする性質の強い高音はまずはフロントウインドーにぶつかることとなる。結果リスナーは、ウインドーやパネル類にぶつかって反射した音しか聴けなくなる。この状況はシンプルではなく、サウンド制御が難しくなるのだ。

ツイーターをダッシュボードの上に取り付けた例(ダイヤトーン・デモカー)。

ダッシュボードの上にポンと置けると、コストと音の両面で利点を発揮!

続いては、装着位置の2つ目の選択肢について説明していく。それは「ダッシュボードの上」だ、この場所を選択すると、音響的なコンディションは大分上向く。ツイーターから放たれる直接音を聴けるようになるからだ。車内は狭いので、それでもツイーターから放たれる音はどこかしらに反射することにはなるが、しかし、反射しない音を多く聴けるようになることは、サウンド制御の面で利が大きい。

そして、この取り付け方を実行できる場合には、取り付け費用を抑えられる。パネルのどこかを切ったり貼ったりせずにスムーズに取り付けられるからだ。

ただし、この方法が可能となることにも1つ条件がある。それは「マウントが付属されていること」だ。なおマウントにもいくつかタイプ違いがあり、ダッシュボードの上にポンと置けるタイプのマウントである必要がある。そしてそうであれば音的にも取り付けコスト的にもアドバンテージを発揮する。

なお愛車のダッシュボードの両端あたりが大きく傾いている場合には、この作戦は取りにくくなる。マウントを用いてポンと置いたときに、ツイーターが大きく傾いてしまうからだ。マウントがタテ方向に角度を変えられるようになっていればまだ対応が可能となるが、そうでなかったらその他の場所を模索すべきだ。

そして取り付け場所の3つ目の選択肢となるのは、「ドアミラー裏」もしくは「Aピラー」だ。このどちらかに埋め込み加工をすると、「ツイーター」をしっくりと収められる。なお、この選択肢によって得られる利点については、次回に詳しく解説する。

というわけで、ツイーターの取り付け場所にはさまざまな選択肢がある。それぞれの利点と不利点とを鑑みながら、自分にとってのベストな取り付け場所を見つけ出したい。で、カーオーディオ・プロショップで「スピーカー交換」を行う場合には、ツイーターの取り付け場所についても、愛車の状況と購入するスピーカーの性格に応じてコスト面と音質面の両方の観点から的確なアドバイスを受けられる。ここも、プロショップで「スピーカー交換」を行う大きな利点だ。

今回は以上だ。次回は先述したとおり、ツイーターの埋め込み加工について詳しく解説していく。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

ツイーターは取り付ける場所で音が変わる!? プロショップで実行する「スピーカー交換」、その手順とコツと利点を完全伝授! Part6

《太田祥三》

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