ツイーターの埋め込み加工[スピーカー 次の一手]

ツイーターをAピラーに装着した例(製作ショップ:サウンドフリークス<岩手県>)。
ツイーターをAピラーに装着した例(製作ショップ:サウンドフリークス<岩手県>)。全 4 枚

カーオーディオシステムのレベルを上げるための第一歩といえば、定番なのは「スピーカー交換」だ。なお、もしもそれを実行済みであるならば、その性能をさらに引き出さなければもったいない。当特集では、それを実現する“次の一手”を多角的に紹介している。

当初は簡易的な方法で取り付けても、いつかは…。

今回は、ツイーターの「埋め込み加工」にフォーカスする。

ところでスピーカーを交換する際には、ツイーターをどのように取り付けるかも思案のしどころとなる。ちなみにインストール費用がかかりにくいのは、純正位置に埋め込むか(埋め込める仕様になっている場合)、ダッシュボードの上にポンと置くか(そのように取り付けられるマウントが付属している場合)、このどちらかだ。

なお、初期投資を少なくすることも大事だ。そうすることで予算の多くを製品代に注げるので、より良い製品を手にできる。しかし、交換したスピーカーの能力を一層引き出したいと考えるのなら、いつかはツイーターの「埋め込み加工」を実行したい。

なぜなら、ツイーターは「埋め込み加工」をした方がより性能を発揮しやすくなる。「埋め込み加工」には利点があり、それが音に効くのだ。利点は主には3つある。まず1つ目の利点は、「角度の自由度が高いこと」だ。というのもツイーターは、どのような向きで取り付けるかで鳴り方が微妙に変わる。なので各カーオーディオ・プロショップは、各店ごとのノウハウに従って取り付ける位置や車室内の状況等々を勘案しながら都度、ベストな角度を模索する。ツイーターの角度決めは、とにもかくにもデリケートなのだ。

しかしマウントを使ってダッシュボードの上にポンと置く場合には、マウントの構造によっては角度の振り幅はある程度限定的となり、さらにはダッシュボードの傾斜との兼ね合いもありベストな角度に設定しにくいこともある。でも「埋め込み加工」を行う場合には、制約がなくなり自由自在に角度を決められる。

そして利点の2つ目は、「強固に固定できること」だ。スピーカーは磁気回路で発生したエネルギーを振動板に伝えて音を出す。その営みをより効率的に行うためには、筐体はしっかり固定できた方が良い。そうすることで振動板に伝わるエネルギーをロスしなくなるのだ。

ツイーターをドアミラー裏に装着した例(製作ショップ:イースト<大阪府>)。

「Aピラー」にツイーターを埋め込むと、サウンドステージが目の前で展開する!?

ツイーターを「埋め込む」ことで得られる3つ目の利点は、「高さと幅を稼げること」だ。なお、このことについては埋め込む場所によって利点の内容が少々変わってくるので、個別に説明していきたい。ところで「埋め込み加工」をする場合、埋め込む場所の候補は2か所ある。1つが「Aピラー」でもう1つが「ドアミラー裏」だ。

最初に「Aピラー」について説明していこう。まず「Aピラー」に埋め込む場合、ダッシュボードの上にポンと置くときと比べて左右の幅を広く取れる。そして何より、高さを稼げる。ツイーターはできれば、ある程度高い位置に取り付けた方が音的に有利だ。その理由は以下のとおりだ。クルマではドアにミッドウーファーを取り付けることになるのだが、ミッドウーファーにて鳴らされるのは音楽の主だった要素だ。例えばボーカル帯域や主旋律パートがミッドウーファーにて奏でられる。その主要なサウンドは、できることなら目の前から聴こえてきてほしい。

で、ツイーターを高い位置に取り付けると、ミッドウーファーから繰り出されるサウンドも目の前で展開されるようになる。高音は指向性が強いので音の出どころが分かりやすい。ゆえに、高音が高い場所で鳴っていると中低音もそれに引き上げられるようにして、すべての音が高い位置で鳴っているかのように錯覚するのだ。

また「Aピラー」に取り付ける場合には、障害物を避けることもできる。メーターフード等、ダッシュボードの上には盛り上がっている部分もある。ある程度高い位置に取り付けられればそういったものに音が当たることの影響も少なくできる。

さらには「Aピラー」の場合は、奥まった位置に取り付けられることもメリットとなる。特にシステムに高度なサウンドチューニング機能が備わっていない場合には、奥まった位置に取り付けられた方がサウンドコントロールがしやすくなる。左右の距離差が少なくなるからだ。

ツイーターをAピラーに装着した例(製作ショップ:アークライド<千葉県>)。

「ドアミラー裏」に埋め込むと、ステレオイメージがよりリアルに展開する!

続いては、「ドアミラー裏」に取り付けることのメリットを解説していこう。ここに取り付けることで得られる最大の利点はズバリ、「左右の幅が稼げること」だ。「Aピラー」に取り付ける場合でもダッシュボードの上にポンと置くときと比べて左右の幅を稼げるが、「ドアミラー裏」に取り付けるとその利点はさらに伸長する。

状況を具体的にイメージしてほしい。右ハンドル車でツイーターをダッシュボードの上にポンと置いた場合、右側のツイーターはほぼ正面に位置することとなるのだが、それを「ドアミラー裏」へと移動させると、ドライバーから見たときの角度がかなり右側へと開く。結果、音楽をかけたときサウンドステージの右端がぐっと右側に広がり、ステレオイメージがよりリアルになるのだ。

ただし、右側のツイーターはかなりドライバーに近づくので左右のツイーターの距離差が大きくなる。そして右側のツイーターの音量も目立ってくる。なので「ドアミラー裏」に取り付ける場合には、システムにプロセッサーが備わっていた方が良い。プロセッサーがあれば、音量や音の到達タイミングのバラツキを整えられる。

というわけなので、まずは「プロセッサー」を先に導入し、その後にツイーターを「ドアミラー裏」に埋め込むという手もある。

なお「ドアミラー裏」は、インストール費用が「Aピラー」に埋め込む場合と比べて少なくてすむ。加工する面積が少ないからだ。さらにいうと、純正状態にも戻しやすい。「ドアミラー裏」のパーツは小さいので、パーツ代も比較的にお手頃だ。

今回は以上だ。次回も、交換したスピーカーの能力を一層引き出すための“次の一手”を紹介する。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

取付場所を変えれば音も変わる!? スピーカーの性能をさらに引き出す“次の一手”を詳細解説! Part6「ツイーターの埋め込み加工」

《太田祥三》

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