新連載[システム・メイク術]ハイレゾ音源再生にこだわるなら…ケンウッド 彩速ナビ

ケンウッド・彩速ナビ MDV-M908HDF
ケンウッド・彩速ナビ MDV-M908HDF全 9 枚

カーオーディオでは、システム構築法がさまざまある。当特集では、その1つ1つを具体的に解説しようと試みている。まずは、メインユニットの内蔵パワーアンプでフロントスピーカーを鳴らす「内蔵パワーアンプシステム」について考察している。

【画像全9枚】

ハイレゾ音源のファイルフォーマット対応力は随一!

「内蔵パワーアンプシステム」は、もっとも基本的なカーオーディオシステムだ。システムはメインユニットとスピーカー、この2つだけで完成できる。ただし、メインユニットに何を使うかによって特徴が変わってくる。というわけで当特集では、メインユニットの機種ごとでどのような「内蔵パワーアンプシステム」を組めるのかを説明している。

今回は、ケンウッドの人気AV一体型ナビシリーズ『彩速ナビ』を用いる場合について解説していく。

最初に、『彩速ナビ』のプロフィールを紹介しておこう。『彩速ナビ』は、AV一体型ナビの記録メディアの主流がHDDだった2011年に、SSDを採用して初登場した。SSDを使った狙いの1つは、起動や処理スピードが速いからだ。そこを利して機種のストロングポイントとしたわけだ。そしてその上でCPUを工夫しまた独自のデータ圧縮技術を投入して、操作レスポンスの速さに磨きをかけた。

また、高画質であることにもこだわってきた。現在では旗艦機でHDパネルを使い、さらには地図の見え方にも趣向を凝らしている。というわけで名前のとおりに、“彩り”と“速さ”に特長を持つシリーズだ。

なお2015年には市販AV一体型ナビとして初となる、ハイレゾ音源のネイティブ再生を可能とするモデルをリリースしている。ちなみに今ではハイレゾ音源の再生を可能とするAV一体型ナビは珍しくなくなったが、ファイルフォーマット対応の幅広さでは現在も、『彩速ナビ』が頭1つ抜けている。

また、高音質技術も多々盛り込まれている。結果『彩速ナビ』は、素の音質性能もなかなかに優秀だ。つまり、「内蔵パワーアンプシステム」を構築するためのメインユニットとしても、魅力を有するシリーズだ。

新作の登場が発表されたばかりの『TYPE S』シリーズは、AV能力も進化!

続いてはラインナップを紹介していこう。『彩速ナビ』は現在、3ライン構成となっている。最上位グレードとして『TYPE M』シリーズがあり、その下に『TYPE S』シリーズと『TYPE L』シリーズとが続く。ちなみにスタンダードグレードの『TYPE S』シリーズのみ、2022年モデルの登場が3月3日に発表されたばかりだ。

なお『彩速ナビ』は、ベーシックグレードの『TYPE L』シリーズもサウンドチューニング機能は案外充実している。特筆すべきは「13バンドイコライザー」が搭載されていることだ。ベーシックモデルとしては優秀だ。しかし上位グレードに搭載されている「タイムアライメント(ケンウッドでは当機能を「リスニングポジション」と呼んでいる)は積まれていない。そしてハイレゾ音源のネイティブ再生も不可で、ケンウッドが誇る高音質技術「K2テクノロジー」も非搭載だ。

なので、音の良い「内蔵パワーアンプシステム」を『彩速ナビ』シリーズにて組もうとするなら、お薦めはこれ以外のシリーズだ。『TYPE M』シリーズと『TYPE S』シリーズでは、それらがすべて対応・搭載済みだ。

また、『TYPE L』シリーズの各モデルはBluetoothとHDMIにも非対応だ。スマホのワイヤレス接続やミラーリングを行いたいと考えるときにも、他のシリーズに狙いを変えたい。

ちなみに『TYPE S』シリーズも2021年モデルまではHDMI端子を装備していなかったが、新作では備えられている。その点で『TYPE S』シリーズのAVメインユニットとしてのバリューはぐっと高まった。

そして新しい『TYPE S』シリーズでは、8V型のフローティングモデルも新たに加わっている。8V型が欲しくても装着できなかったというドライバーは、当モデルにも注目しよう。

最上位グレードの『TYPE M』シリーズのオーディオ機能は、なかなかに充実!

しかしながら、よりハイレベルな「内蔵パワーアンプシステム」を組みたいと思うならやはり、お薦めは最上位グレードの『TYPE M』シリーズだ。これを推す理由は主には4点ある。

まず1点目は「ハイレゾ音源のファイルフォーマット対応力が幅広いから」だ。当シリーズのみ“DSD”の再生が可能だ。ここまで対応するAV一体型ナビは『彩速ナビ』をおいて他にはない。なお『TYPE S』シリーズでもWAVとFLACの両方の192kHz/24bitファイルにも対応する。普通に考えればこちらでも、対応力は十二分に高い。

『TYPE M』シリーズをお薦めする理由の2点目は、「Bluetoothの高音質コーデック“LDAC(エルダック)”にも対応しているから」だ。もしも愛用のスマホが“LDAC”に対応していれば、当機ならスマホの音楽をより高音質にワイヤレス再生できる。ちなみに昨今は、ストリーミングミュージックアプリの高音質化が顕著だ。もしもそのようなアプリを愛用していてスマホが“LDAC”に対応していれば、『TYPE M』はかなり有力な候補となり得る。

理由の3つ目は、「“プロモードEQ”が搭載されているから」だ。これは“パラメトリック”タイプのイコライザーであり、つまりより詳細にサウンド補正をかけられる。

そして理由の4つ目は、「クロスオーバー機能も搭載されているから」だ。ただ当シリーズの各機に搭載されているそれはツイーターとミッドウーファー間にはかけられないので、フロントスピーカーのマルチ制御は行えない。しかしサブウーファーを導入する際には多大な力を発揮する。

というわけで、『彩速ナビ・TYPE M』は、カーオーディオメインユニットとして侮れないポテンシャルを秘めている。手応えある「内蔵パワーアンプシステム」の構築を考える際には、検討する価値の大きい機種と言って良い。参考にしてほしい。

今回は以上だ。次回も「内蔵パワーアンプシステム」構築のためのガイドとなる情報をお伝えする予定だ。乞うご期待。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

“ハイレゾ音源”再生にこだわるならコレ!? 詳説「システム・メイク術」Part2『ケンウッド・彩速ナビ』の場合

《太田祥三》

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