メリットあるの? なぜ車高を下げたくなるのか[カスタムHOW TO]

メリットあるの? なぜ車高を下げたくなるのか[カスタムHOW TO]
メリットあるの? なぜ車高を下げたくなるのか[カスタムHOW TO]全 8 枚

カスタムと言えばシャコタンとまでは行かなくても、車高を少し下げたいという人は多い。では、車高を下げるメリットはどこにあるのか。またデメリットとその解消法はどうしたらいいのだろうか。

◆重心は下がるが、ロールセンターは上がる!?

車高を下げるメリットそれはなんと言ってもカッコイイ。ノーマルの車高ではタイヤとフェンダーの間にコブシが入るくらいのクリアランスのことも多い。しかし、よく見ると自動車メーカーのコンセプトカーなどの展示車両はそんなことないのである。むしろ車高ベタベタである。つまり自動車メーカーも車高は低いほうがカッコイイと認識しているハズである。

でも、いざ発売となると、5名乗車して荷物をパンパンに積んで砂利のキャンプ場にも乗り入れられなければクレームになってしまう。なので車高はどんと高くなって「こんなにかっこ悪かったっけ?」という状態で売られてしまうのである。

ならば、車高を自分で下げればいいのだ。そうすればかっこよくなるだけでなく、ハンドリング的なメリットもある。まず、車高が下がるメリットは重心が下がること。コーナリング時に重心が下がる。横風が強い日でも車体がフラフラしにくくなり、安定しやすい。

その代わり車高を下げたらサスペンションを引き締めなければならない。車高を下げたらサスペンションのストロークを短くしなければならない。サスペンションが沈み込める最大の位置は決まっていて、それ以上に沈み込んだらタイヤとフェンダーが接触したり、さまざまな不具合が起きてしまう。

そうなると沈み込める最大の位置は同じなので、車高を下げた分だけサスペンションストロークを短くしないといけない。ストロークを短くするにはバネレートを上げて、短いストロークで車体を支えなければならないのだ。

なので必然的に車高調はバネレートがノーマルよりも高く、引き締められた乗り心地になる。ダウンスプリングでも同様で、車高を下げるためにバネレートはノーマルよりも高く設計されている。

そのバネレートが上がっている効果でさらにクルマは安定する。フラフラもしにくくなるし、コーナリング時のロール量も減る。その相乗効果もあって、車高を下げると安定感が高まるのだ。

◆デメリットは乗り心地の悪化とハンドリングの悪化

良いことばかりでもない。車高を下げるとバネレートが上がる分、乗り心地が悪くなりやすい。バネレートが高くなってもしなやかなダンパーがあれば、それほど乗り心地は悪くならないのだが、フリクション(抵抗)の大きいダンパーだとビックリするほど乗り心地が悪化することもある。

また、車高を下げたのにフラフラとすることもある。重心が下がったはずなのにフラフラするのは、ロールセンターが原因。ロールセンターとはクルマが左右にロールするときの中心位置のこと。ノーマル状態ではロールセンターは車体の低い位置にあり、そこを中心にして左右にロールする。

このロールセンターはロアアームの角度によって変わる。車高が下がるとロアアームがボディからタイヤに向かって下がっている状態が標準だが、逆にバンザイ状態になってしまう。そうなるとロールセンターの位置が地中にまで下がってしまう。

ロールセンターが下がると、ロールしたときにノーマル車高よりもより大きく振られてしまい、車高を下げたのに安定感がないということになってしまうのだ。

◆弊害を解消する方法はバネレートのアップ

そういったフラフラ感を解消する基本はバネレートアップでクルマの動きを抑えてあげることが基本。

ほかにもロアアームの角度を補正する方法もある。ロアアームとナックルの間にスペーサーを入れて、ロアアームの角度をボディから下がるように補正することもできる。ロールセンターアジャスターと呼ばれるパーツだ。

これはストラット式のサスペンションなら有効。ロールセンターを補正することができる。マルチリンクやダブルウィッシュボーン式サスペンションになると、アッパーアームの角度も補正しないとバランスがおかしくなってしまう。アッパーアームを補正するパーツはあまりないので、ロアアームだけで効果が発揮できるかは微妙なところ。

車高を下げるなら、そういった周辺パーツでの補正と、アライメントも適正にしなければならないので、プロショップで作業してもらいたい。

★カスタムHOW TO企画は毎週火曜・土曜6:30掲載

《加茂新》

加茂新

加茂新|チューニングカーライター チューニング雑誌を編集長含め丸15年製作して独立。その間、乗り継いたチューニングカーは、AE86(現在所有)/180SX/S15/SCP10/86前期/86後期/GR86(現在所有)/ZC33S(現在所有)。自分のカラダやフィーリング、使う用途に合わせてチューニングすることで、もっと乗りやすく楽しくなるカーライフの世界を紹介。

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