聴取位置を擬似的に変えられる…タイムアライメント[サウンドチューニング]

「タイムアライメント」機能を有するプロセッサーを搭載したオーディオカーの一例(フォーカル・デモカー)。
「タイムアライメント」機能を有するプロセッサーを搭載したオーディオカーの一例(フォーカル・デモカー)。全 4 枚

クルマの中で音楽をより良い音で楽しみたいと思ったとき、「サウンドチューニング機能」が頼りになる。当連載では、この使いこなし方をレクチャーしている。本命の設定はプロに任せるとして、自分でもやってみるとカーオーディオライフを一層充実させられる。

【画像全4枚】

さて、今回からは新たな章に突入する。本格的なカーオーディオシステムにて使われる「サウンドチューニング」機能は主に3つある。そのうちの2つがこれまでに説明してきた「イコライザー」と「クロスオーバー」で、残りのもう1つが「タイムアライメント」だ。今回からはこれについて解説していく。

まずは、当機能の役割を説明しよう。当機能はズバリ、「スピーカーの発音タイミングを遅らせられる機能」だ。このような機能が必要となる理由は以下のとおりだ。

車室内は実は、ステレオ再生を楽しみにくい環境だ。ステレオとは、演奏を左右の2chに分けて録音し、それを左右1つずつのスピーカーで再生し音楽を立体的に再現しようとするものだ。人間には耳が2つついている。だからこそ音の出どころが分かるのだが、ステレオは言うなればその仕組みを逆手に取っている。

ただしこれを成り立たせるには、2本のスピーカーのそれぞれから等距離の場所に身を置く必要がある。左右のスピーカーから発せられる音をバランス良く、そして時間差なく聴く必要があるからだ。しかしクルマの中では聴取位置が左右のどちらかに片寄る。結果、ステレオイメージ(音楽の立体感)の再現性が落ちがちとなる。

でも「タイムアライメント」機能がシステムに備わっていると近くにあるスピーカーの発音タイミングを遅らせられるので、すべてのスピーカーから発せられる音を同時にリスナーの耳に届けられるようになる。かくして、擬似的にすべてのスピーカーから等距離の場所にいるかのような状態を作り出せる。

ところで「タイムアライメント」機能には、簡易的なものと本格的なものの2タイプがある。なおこれは実は、「タイムアライメント」機能が簡易的か本格的かという違いではない。プロセッサーに「ツイーターとミッドウーファー間に設定できるクロスオーバー機能が搭載されているか否か」の違いだ。

プロセッサー内でツイーター用の信号とミッドウーファー用の信号とを分割できる「クロスオーバー」機能が搭載されていると、「タイムアライメント」を各信号ごとに効かせられる。逆にそのような「クロスオーバー」機能が備わっていない場合には、ツイーターとミッドウーファーを1つのスピーカーとして扱わざるを得なくなるので、ツイーターとミッドウーファーの個別制御は行えない、というわけだ。

今回は以上だ。次回からは当機能の設定手順を紹介していく。お楽しみに。


《太田祥三》

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