ロールスロイス、1台限りの『ファントム』の開発に4年…こだわりの内外装

見る角度によって4色に変わる塗装「リキッド・ノワール」

傷ひとつない一枚革を天井に使用

車両全体にティースプーン1杯分にあたるガラス粒子を使用

ロールスロイス・ファントム・シントピアとファッションデザイナーのイリス・ヴァン・ヘルペン氏
ロールスロイス・ファントム・シントピアとファッションデザイナーのイリス・ヴァン・ヘルペン氏全 10 枚

ロールスロイスモーターカーズ(Rolls-Royce Motor Cars)は3月9日、1台限りの『ファントム・シントピア』を欧州で発表した。オランダ出身のファッションデザイナーのイリス・ヴァン・ヘルペン氏とのコラボレーションによるワンオフモデルだ。

写真:ロールスロイス・ファントム・シントピア

4年にわたる開発期間を経て、この特別なワンオフモデルが完成した。まもなく顧客のプライベートコレクションに加わる予定だ。

◆見る角度によって4色に変わる塗装「リキッド・ノワール」

ロールスロイスのビスポーク・コレクティブは、ワンオフのペイント「リキッド・ノワール」を開発した。この塗装は太陽光の下では虹色に輝き、見る角度によって、パープル、ブルー、マゼンタ、ゴールドの色調が現れる。

この効果を得るために、ロールスロイスで使用されている最も濃いソリッドブラックの塗装の上に、色を変化させる効果のある鏡面顔料を使用した仕上げが施された。繊細で上品な輝きを加えるため、チームはクリアコートに顔料を塗布する全く新しい技術を開発した。このプロセスには、テストと検証に数カ月の期間と3000時間以上が費やされた。

ボンネットには、インテリア全体を飾る「ウィービング・ウォーター」のモチーフが表現された。これは、仕上げの工程で顔料を丁寧に再塗装させることで生み出されている。

ロールスロイス・ファントム・シントピアロールスロイス・ファントム・シントピア

◆傷ひとつない一枚革を天井に使用

コーチドアを開けると、頭上には「ウィービング・ウォーター・スターライト・ヘッドライナー」が広がる。これはロールスロイスの特長のひとつのヘッドライナーとして、過去最も製作が難しいものだったという。このヘッドライナーには、1000枚以上の皮革から選び抜かれた傷ひとつない一枚革が使われている。

左右対称に正確にカットされた部分から見えるのは、その下にあるシルバーの「リキッド・メタル」テクスチャーだ。イリス・ヴァン・ヘルペンの「Embossed Sounds」コレクションで使用されたナイロン織布によるテクスチャーが、ヘッドライナーに立体感を与えている。

さらに仕上げとして、グラスオーガンジーでつくられた162枚の繊細な花びらがあしらわれた。これは、イリス・ヴァン・ヘルペンのクチュール・チームが英国グッドウッドまで足を運び、約300時間をかけて創り上げたものだ。また、光ファイバーを用いた995個の輝く星のうち、187個は手作業でアートワークの横に配置され、後方から前方に向かって順次点灯して躍動感を演出する。このヘッドライナー全体だけでも、延べ700時間近い作業時間を要している。

ロールスロイス・ファントム・シントピアとファッションデザイナーのイリス・ヴァン・ヘルペン氏ロールスロイス・ファントム・シントピアとファッションデザイナーのイリス・ヴァン・ヘルペン氏

◆車両全体にティースプーン1杯分にあたるガラス粒子を使用

ウィービング・ウォーターのテーマは、ファントムのフェイシアの全幅を占めるギャラリーのユニークなアートワークにも表現された。伝統的なオートクチュールの技巧とビジュアルを融合させた作品には、85枚の花びらがあしらわれた。これはグッドウッドの工房で、イリス・ヴァン・ヘルペンのチームによって、およそ60時間をかけて手作業で丁寧に仕上げられた。

ピクニックテーブルとギャラリー真下の助手席側パネルに施されたデザインは、ボンネットのウィービング・ウォーターのアートワークと同じモチーフを表現している。このモチーフは、ガラス粒子の含有量が異なるペイントとラッカーを何度も塗り重ねることによって実現した。まず、表面にガラス粒子を0.9%含む黒色のペイントを塗布し、その後、職人が光輝材を1.4%含むクリアコートを塗布して、ウィービング・ウォーターのモチーフを浮かび上がらせた。これには、3週間以上にわたる複雑な工程を経たうえで、完成した。

この作業を開始する前に、エクステリア・サーフェイス・センターのチームが4か月かけて塗料の配合を完成させ、9回の試し塗りを経て、理想的なガラス粒子の割合が特定された。車両全体では、ティースプーン1杯分にあたるガラス粒子が使用されている。

《森脇稔》

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