40年も?! 日立アステモの不適切行為---調査結果および再発防止策など公表

日立アステモ
日立アステモ全 2 枚

日立Astemo(アステモ)は、製造する機械部品の定期試験などにおける不適切行為を公表し、事実確認と原因究明などの調査を進めてきた。同社は5月19日、調査結果、原因分析、再発防止策などについて公表した。

日立アステモは、山梨工場(山梨県南アルプス市)で製造するブレーキ構成部品、および福島工場(福島県桑折町)で製造するサスペンション構成部品に関して、定期試験の未実施などの不適切行為が行われていたことを、2021年12月に公表していた。

不適切行為と類似事案の一部の調査は、特別調査委員会によって行なった。加えて、日立アステモ自身による、国内外の全製造拠点での社内調査、および、特別調査委員会による上記調査に関連したスクリーニング調査を実施した。

その結果、日立アステモ自身のコンプライアンス文化や管理監督体制が、相当期間にわたって不十分であったことを認識した。そのため組織全体で改善策を策定し、関連する教育、プロセスの見直しや、人財・設備面での投資などを不適切行為の再発防止を目的として実施し、それらを継続的に改善することを決定した。

現時点までに不適切行為が確認された製品については、社内検査を実施し、安全性および性能に問題はないと判断している。判明している全ての不適切行為について顧客に開示しており、安全上の問題は確認されておらず、道路運送車両法等への法令違反として認識しているものはなとする。

1. 主な調査結果

●山梨工場および福島工場において、一部の自動車部品の試験や仕様、報告において、2021年12月22日に公表したもの以外でも不適切な行為があった。
●日本の生産工場(11工場)のほか、米国、メキシコ、タイ、および中国の生産工場(各1工場) においても、同様の不適切な検査・報告行為などがあった。
●不適切行為が行われていた期間と関連する顧客の数は2021年12月22日の報告よりも多いものがあり、不適切な行為が約40年続いていたケースもあった。
●コンプライアンス通報制度があり、制度を利用したケースがありながら、事態は改善されず、内部通報制度が十分に機能していなかった。

2. 原因分析

●拠点運用とその監督における経営陣の誤った姿勢に起因する、品質保証に関するコンプライアンス意識の低さ、コンプライアンス監視の不徹底、品質保証に関する自浄作用の欠如により、不適切行為が継続した。
●営業部門における受注活動の段階で、現場では対応できない内容での試験検査項目や製品スケジュールの合意がなされるなど、実現困難なコミットメントを許容する文化があった。
●試験を実施するための人員の慢性的な不足、試験に必要な設備が整備されない状態に加え、一貫性のない業務手順により、従業員独自の解釈や手順が存在した。

3. 再発防止策

●月2回以上のCEOによるメッセージ発信を含む、経営陣による品質とコンプライアンスに関するゼロトレランス方針の追求と全社的なコミュニケーションの強化
●品質保証部門の権限強化に加え、事業軸を通さない独立した品質保証レポートラインの構築、および品質保証に関わる人的・物的リソースへの投資の増強
●幹部職員および営業・工場の第一線で活躍する従業員への「品質」に関する教育・研修
●部門間の連携や情報共有を強化するための業務プロセスの変更
●手順の標準化、プロトコルの厳格な実施
●内部監査体制の強化と内部通報制度の改善
●データの改ざんが発生し得ない機器のデジタル化や自動化の推進
●3線ディフェンスの構築・強化

《高木啓》

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