サブウーファーからの超低音は「モノラル」と「ステレオ」、どちらで鳴らす?…キーワードから読み解くカーオーディオ

「サブウーファー」が「ステレオ使い」されたオーディオカーの一例(製作ショップ:ジパング<鳥取県>)。
「サブウーファー」が「ステレオ使い」されたオーディオカーの一例(製作ショップ:ジパング<鳥取県>)。全 4 枚

カーオーディオシステムを成長させようと考えていろいろと調べてみると、専門用語を度々目にする。そしてその存在がビギナーの壁となる。当連載は、その払拭を目指して展開している。今回は、「サブウーファー」の鳴らし方に関する用語の意味を説明していく。

◆「サブウーファー」は「モノラル」で鳴らされることが多い。その理由とは…

早速本題に入ろう。「サブウーファー」は実は、「モノラル」で鳴らされることが多い。例えばもっとも導入のハードルが低い「パワードサブウーファー」は、2台投入されるケースはかなり少ない。ほとんどの場合、1台にて「モノラル」で鳴らされる。

しかしながら本来、「ステレオ音源」には左右のchに分けて音楽が録音されている。なので、フロントスピーカーは左右に付いている。にもかかわらず「サブウーファー」は、1発しか導入されないことが多いのだ。

それには理由がある。その理由とはズバリ、「超低音は“ステレオ感”が出づらいから」だ。

これがどういうことなのは以下のとおりだ。音は、水たまりに石を投げ入れたときにできる波紋のように空気中を上下運動を繰り返しながら進むのだが、その上下運動の大きさは音程の高低によって変化する。高い音ほど上下運動の1サイクルの長さが短く、低い音ほど上下運動の1サイクルが長い。

「サブウーファー」が「ステレオ使い」されたオーディオカーの一例(製作ショップ:ジパング<鳥取県>)。「サブウーファー」が「ステレオ使い」されたオーディオカーの一例(製作ショップ:ジパング<鳥取県>)。

◆「サブウーファー」が担当する音の1波長は、例えば50Hzの音では6.8mもある!

その1サイクルとは、実際にどのくらいの長さなのだろうか。音は1秒間に約340m進む(気温や気圧により変化する)のだが、「サブウーファー」が担当する帯域は20Hzから80Hzくらいまでの場合が多く、その中の例えば50Hzの音は1秒間に50回の上下運動を繰り返す。

ということは340mを50で割ると、1波長は大体6.8mということになる。ここまで1波長が長いと、車内という狭い空間ではその音がどこから鳴っているのかがほとんど分からない。

なので「サブウーファー」を「ステレオ」で鳴らしても、「ステレオ感」が表現されにくい。

であるならば「モノラル」で鳴らした方が合理的だ。「サブウーファーユニット」は1発だけを用意すれば良く、それを鳴らすための「パワーアンプ」も1ch分だけを確保できれば良い。このように必要な機材の量が減り、さらには機材のインストールスペースも少なくて済む。取り付け作業の手間も省ける。ゆえに「サブウーファー」は、「モノラル使い」されることがスタンダードになっている。

「サブウーファー」が「ステレオ使い」されたオーディオカーの一例(製作ショップ:ジパング<鳥取県>)。「サブウーファー」が「ステレオ使い」されたオーディオカーの一例(製作ショップ:ジパング<鳥取県>)。

◆「ステレオ使い」はハードルが高い。しかし上手くいったときには効果絶大!?

しかしながら音にこだわろうとする際には、敢えて「サブウーファー」が「ステレオ使い」されることもある。なぜなら、車内では超低音の「ステレオ感」は出にくいとはいえ、音源には超低音も「ステレオ録音」されている。であるならばそれをそのまま「ステレオ」で再現するのが本来の形であることも、また事実だからだ。

ただし、「サブウーファー」の「ステレオ使い」はハードルが高い。「サブウーファーユニット」は2つが必要となり「ボックス」も2つを用意しなくてはならない。そして当然ながら搭載スペースも倍必要となり、駆動させるパワーアンプの出力も2ch分を確保しなければならなくなる。

さらには、サウンドチューニングの難易度も上がる。ユニットが2つになるので、各チューニング機能を個別に運用させなければならなくなる。ケアすべき項目が、単純に倍に増えるのだ。

しかしハードルが高いことはダテではなく、もろもろが上手くいくとより深みのある超低音を鳴らせる。

というわけでスタンダードなのは「モノラル」だが、音にこだわりたいと思ったときにはシステム構築を依頼する「カーオーディオ・プロショップ」とじっくり相談して、ベストなやり方を見つけ出そう。そしてその検討の過程も楽しみたい。カーオーディオでは、良い音を得るためのプランニングをするところも楽しみどころとなるからだ。

今回は以上だ。次回以降も難解なワードの解説を継続していく。お楽しみに。

《太田祥三》

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