A70スープラをレストア、GRヘリテージパーツを利用…トヨタGAZOOレーシングの事業展開

A70スープラをレストア(オートモビルカウンシル2025)
A70スープラをレストア(オートモビルカウンシル2025)全 13 枚

トヨタ自動車は4月11~13日に幕張メッセで開催されたヘリテージカー、ヒストリックカーの展示会「オートモビルカウンシル2025」に出展、レストアされた『スープラ』を披露し、「GRヘリテージパーツ」とレストア事業を訴求した。

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◆車好きを誰一人置いていかない

トヨタ自動車でレストア事業を手がけるトヨタGAZOOレーシング・カンパニーの高橋智也プレジデントは4月11日、レストア事業の意義について「豊田章男会長が『車好きを誰一人置いていかない』と言うように、古い車に乗っているユーザーに笑顔になってほしい」と述べた。

トヨタ自動車は、レストアやパーツ供給活動に加え、クルマ文化に触れる場づくり、レストアを通した人材育成といったヘリテージ活動を整理・統合し、2025年から「TOYOTA CLASSIC」と題して発展させていく方針を、オートモビルカウンシル2025において明らかにした。

◆GRヘリテージパーツ

トヨタGAZOOレーシングでは、2020年からGRヘリテージパーツの企画・販売を行なっている。過去のスポーツカーや、『ランドクルーザー』のような伝統のSUVなどについて、「思い出の詰まった愛車に乗り続けたい」というオーナーの想いに応えるため、廃番となった補給部品を復刻し、純正部品として販売する取り組みだ。

復刻部品は8車種計294品番を販売中だ。高橋プレジデントは部品の選定について、「やはりユーザーから声が多いのは、車検を通すために必要な部品。そしてゴムや樹脂など、劣化して使えなくなる部品で、サードパーティでは復刻が難しい部品。サードパーティがやっている部品は我々ではやらない。ユーザーに長く愛車を乗ってもらう世界をみんなで作りたい」と説明する。

A70スープラをレストア(オートモビルカウンシル2025)A70スープラをレストア(オートモビルカウンシル2025)

幕張メッセにはGRヘリテージパーツを利用したレストア車として、初代スープラJZA70型と2代目スープラJZA80型が展示された。JZA70型は、Vintage Club by KINTOの旧車レンタカーとしての任務を解かれた1台を、GRガレージ富山新庄(富山県富山市)がレストアした車両だ。

◆A70スープラのレストアプロジェクト

トヨタGAZOOレーシングの高橋プレジデントは「販売店には昔の車に長く乗っている顧客がおり、そういう顧客に対してレストア事業を提供している販売店がある。GRガレージでも何店舗かあり、それらの中でいちばんレストアに力を入れているひとつがGRガレージ富山新庄だ」と言う。

GRガレージ富山新庄の笹山泰治代表取締役社長は「昔いた役員が車好き、旧車好きで、趣味が講じて会社として手がけるようになった」と言う。17年ほどレストア事業をやっていて、作業の大小合わせて30~40台ぐらいの実績があるそうだ。

向かって左からトヨタGAZOOレーシングの高橋プレジデント、GRガレージ富山新庄の笹山社長、梅沢コンサルタント向かって左からトヨタGAZOOレーシングの高橋プレジデント、GRガレージ富山新庄の笹山社長、梅沢コンサルタント

笹山社長は「1台1台にオーナーの深い愛情と思い入れがある。レストアとは車という工業製品を再生させる、綺麗にするだけではなく、オーナーの思い出を蘇らせるお手伝いだ」と語る。トヨタ自動車としてもこの分野に力を入れているのを感じ、A70レストアを請け負ったという。

◆実物を見ないとわからない

ところが「車が会社に来て、いろいろ見たところ、相当手ごわいな、と。この日の展示に間に合ったのは奇跡に近い」と明かす。数日前まで工場で、毎晩作業していたそうだ。現場で作業をまとめたGRガレージ富山新庄の梅沢浩志GRコンサルタントが話を継ぐ。「先に決まってる条件が、オートモビルカウンシルに出展すること。話を聞いたのが2025年の暮れだった」。

レストアというのは納期と金額を約束しづらい作業だ。梅沢コンサルタントは「オーナーと話しながら、この期日までにこの金額でやると決めても、ここまでやったんだったら、もっとこうしたいとオーナーに欲求が生まれて、金額も納期も伸びるのが当たり前だ」と説明する。

「今回のレストアは、期日に間に合わせるためにはどうするか、どこまでやるか、従来と逆のパターンでスケジュール組んだ初めての経験だった。ギリギリだったが間に合ったことで、今後の一般オーナーとレストアの相談をするときの参考になる」。仕上がりに関しては見る人の判断に任せる、としながらも梅沢コンサルタントは「GRヘリテージパーツと富山新庄と、それぞれが得意なところを生かした。じっくり見てほしい」と語った。

◆レストア事業や中古GRビジネスを全国展開したい

富山新庄でのA70レストアプロジェクトはうまくできたようだが、レストア事業を全国のGRガレージに広げる計画はない。レストアに携わる現場の人材の数が少ないことがその理由だ。トヨタGAZOOレーシングの高橋プレジデントは「現場に梅沢さんのような“親父”、人がいるからレストアできるわけで、今は全国に広げられる段階にはない。いっぽうこういう親父に憧れる若い世代もいるので、人材育成を支援したい」と語る。

さらに高橋プレジデントは、GRブランド車の中古車ビジネスを検討していることを明かした。「トヨタの販売店でGR車を下取りすると、そういった車はカスタマイズも多くて販売店で値付けができない。店で売れないから全部オークションに卸されてしまう。それをGRガレージで引き取って、中古車としてGRガレージで販売するようにしたい」。

《高木啓》

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