その「ちょっとだけ」が命取り、車内熱中症に注意

「ちょっとだけ」が命取り
「ちょっとだけ」が命取り全 1 枚

真夏の自動車車内は、想像以上に危険な空間だ。

JAFが実施したユーザーテストでは、「短時間」「曇りの日」「窓を少し開けた」程度の対策では、車内の温度上昇を防げないことが明らかとなった。わずか15分で、熱中症指数は「危険」水準に達する---。これはもはや“うっかり”では済まされない。


●車内は灼熱地獄

テストでは、黒い車体の車内温度は最高57度、ダッシュボードに至っては79度に達した。白い車でも同様に高温となり、サンシェードや窓開け(3cm)といった対策をしても、ダッシュボードは70度超えのままだった。

確かにエアコンを使えば温度は27度ていどに抑えられるが、エンジンをかけたまま車を離れる行為は、誤作動や燃料切れといったリスクが伴う。環境負荷も無視できない。

テスト時の天候は晴れ、外気温35度、正午から4時間、ミニバンを5台用意し、炎天下における車内温度を測定した。車内の最高温度は測定開始から3時間後、15時前後に記録している。以後、太陽が傾くせいか、温度はわずかに下がった。

車両の大きさによって熱中症リスクに差はあるのか? JAFは送迎バスとミニバンで検証を実施。その結果、いずれも20分後には暑さ指数が「厳重警戒」、40分後には「危険」に到達。車両サイズの差は、リスクを低減する要因にはならなかった。

●「寝ているだけだから…」は通用しない

特に危険なのは乳幼児だ。体温調節機能が未発達な子どもは、車内の高温環境下であっという間に体温が上昇し、重度の熱中症に陥る可能性がある。

エアコン停止からわずか15分で熱中症指数が危険レベルに達したという別のテスト結果も出ており、「寝ていたから」「数分だけだから」といった言い訳は命の前では無力だ。

高齢者も例外ではない。加齢により体温調節機能が低下し、やはり危険にさらされやすい。

●スマホは壊れ、缶は爆発寸前

ダッシュボードの表面温度は特に高く、スマートフォンは高温で機能停止。ライターやスプレー缶といった可燃性物質も、爆発のリスクがある。また、ステアリングも触れないほど熱くなり、乗車時に火傷する可能性がある。油断は禁物だ。

●「りすきー」で覚える! 命を守る3つの約束

日本気象協会は、子どもの車内置き去りを防止するキーワードとして「りすきー」を提案している。

「り」…理由を問わず、残さない
→ 子どもが寝ている、泣きやまない、は理由にならない。
「す」…少しの時間でも、残さない
→ たとえコンビニに5分でも絶対NG。
「き」…季節や天候を問わず、残さない
→ 曇りの日でも、春や秋でも油断しない。

この3原則を徹底することが、子どもの命を守る最初の一歩だ。

一部の車両には「リヤシートリマインダー」など、後部座席の確認を促す機能が備わっている。実際、置き去りによる事故には「子どもを乗せていたことを忘れていた」というケースも存在する。こうした機能を活用し、事故の芽を事前に摘む工夫も必要だ。

●結論:「絶対に残すな」

曇りの日でも、たった数分でも、車内は命を脅かす空間となる。

「直前までエアコンをつけていたから大丈夫」
「すぐ戻るから平気」

……その油断が、取り返しのつかない悲劇を生む。子どもや高齢者、ペットを車内に残す行為は、絶対にやめなければならない。

《高木啓》

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