ホイールスペーサー完全ガイド! ツライチ調整と安全な厚み選びの鉄則~カスタムHOW TO~

ホイールスペーサー完全ガイド! ツライチ調整と安全な厚み選びの鉄則~カスタムHOW TO~
ホイールスペーサー完全ガイド! ツライチ調整と安全な厚み選びの鉄則~カスタムHOW TO~全 1 枚

ホイールを手軽に外側へ出せるパーツがスペーサーワイドトレッドスペーサーだ。ハブとホイールの間に入れることでホイールを外側に出し、フェンダーとのツラ具合を調整できる。さらにトレッド幅の変化によってハンドリングを変えるセッティングツールにもなる。

誤った使い方は危険だが、正しく使えば便利で合法なホイール調整パーツでもある。

ホイールはハブに取り付けられる。国産車の多くはハブ側からスタッドボルトが突き出ており、そこにホイールを装着してナットで固定する仕組みだ。このハブとホイールの間に鉄板やアルミのホイールスペーサーを入れることでホイールをボディ外側に出せる。つまりスペーサーはトレッド幅を広げ、ツライチ(面一)調整を行うためのパーツというわけだ。

◆スペーサーの役割と厚み選び

ここで気をつけたいのはスペーサーの厚みだ。車によってスタッドボルトの長さは異なる。スタッドボルトにホイールをはめて、飛び出したスタッドボルトにナットを掛けて締めていくが、スペーサーが厚くなるとスタッドボルトの飛び出し量が少なくなり、ナットの噛み合いが浅くなる。固定力が不足すればホイールが外れる危険性があるため、これは絶対にNGだ。

昔の車はスタッドボルトが長く、10mmや15mmのスペーサーも装着できた。しかし近年のクルマは軽量化や材料節約の影響もあってスタッドボルトが短いことが多い。ZC33S『スイフトスポーツ』の場合、スペーサーは3mm程度までで、それ以上になるとナットの掛かりが浅くなるため、スペーサーを入れられない。

◆ワイドトレッドスペーサーの構造とメリット

そこで登場するのがワイドトレッドスペーサーだ。これはスペーサー本体から新たにスタッドボルトが突き出ているタイプで、まず本体をハブに固定する。このときはホイールと同じ要領で、もともとのスタッドボルトにワイドトレッドスペーサーをはめ、ナットで固定する。次にホイールをワイドトレッドスペーサー側のスタッドボルトにはめ、ナットで締めるという仕組みだ。

メリットは厚いスペーサーを入れて大きくトレッド幅を広げられること。通常、ワイドトレッドスペーサーは15mm以上の厚みが中心で、25mmや30mmといった設定もある。ワイドフェンダー化した車両などでホイールを外側へ大きく出し、トレッド幅を広げたいときに有効なパーツである。

◆装着時の注意と車検・品質のポイント

気をつけたいのは、装着時に、もともとのスタッドボルトがワイドトレッドスペーサーの厚みより長いことが多い点だ。そうなるとホイール装着時に純正スタッドボルトがホイール裏面にあたり、使用できない場合がある。

これを避けるため、スポーツホイールを中心に、取付面側が肉抜き加工され、突出したスタッドボルトを逃がせる設計になっていることがある。この部分にボルトが入れば、問題なく使用できる。さらに場合によっては純正スタッドボルトをカットして短くして使うこともあり、そうしたひと手間が必要になるケースも多い。

ワイドトレッドスペーサー装着車の増し締めでは、ホイールナットを締めるだけでは不十分だ。まずホイールを外してワイドトレッドスペーサーの取り付けナットを締め直し、それからホイールを取り付けてナットを締める必要がある。手間は増えるが、安全にワイドトレッド化するために欠かせない作業である。

スペーサーもワイドトレッドスペーサーも基本的に車検は問題ない。検査官の判断による部分はあるものの、タイヤやホイールがフェンダーから飛び出さない範囲であれば、このパーツの装着そのものが車検NGになることは少ない。ただ、近年は海外製の安価なワイドトレッドスペーサーが増えている。ここは大きな力がかかる重要部品なので、品質には注意が必要だ。国産メーカーではNAPAC基準などの安心できる規格を取得している製品もあるため、信頼性の高いホイールスペーサーから選ぶようにしたい。

《加茂新》

加茂新

加茂新|チューニングカーライター チューニング雑誌を編集長含め丸15年製作して独立。その間、乗り継いたチューニングカーは、AE86(現在所有)/180SX/S15/SCP10/86前期/86後期/GR86(現在所有)/ZC33S(現在所有)。自分のカラダやフィーリング、使う用途に合わせてチューニングすることで、もっと乗りやすく楽しくなるカーライフの世界を紹介。

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