バスを乗せて回るターンテーブル、乗客も乗せたまま!…目は回らない

関東バス・南善福寺(到着)
関東バス・南善福寺(到着)全 12 枚

ぐるぐるぐるぐる……、自動車を載せて回転するターンテーブル。立体駐車場の出入り口などでおなじみだ。設置例は多くはないが、バスを載せて回るターンテーブルも、敷地の狭い起終点転回所で採用されている。バス車内に乗客を乗せたまま回転する珍しい例もある。

【画像全12枚】

その珍しいひとつが、東京都練馬区にある。荻窪駅北口に発着する関東バス荻36の終点、「南善福寺」だ。路線はほぼ全線で杉並区内を通り、南善福寺バス停だけ練馬区にある。

荻窪駅北口を出たバスは、幹線道路の青梅街道を西北西に進む。杉並公会堂や、杉並アニメミュージアムのある通りだ。昔の日産荻窪工場もこの青梅街道沿いにあった。井草八幡宮を左折すると周囲は住宅街に。善福寺池のある低地へ下り、上の池(北池)と下の池(南池)との間のくびれで善福寺池を横切り、ふたたび坂を登り、登り切って少し進むと終点の南善福寺バス停だ。所要約15分。最後の数百メートルが杉並区(東側、進行方向左側)と練馬区(西側、進行方向右側)との区境になっており、バス停の敷地は練馬区内になる。さらに狭い道路を挟んで南側は武蔵野市で、直線距離なら吉祥寺駅が近い。

バスは進行方向右側にあるバス停に斜めに進入、車内に乗客を乗せたままターンテーブルに乗る。支柱から下がったヒモにスイッチがあり、運転士が窓から手を伸ばして操作したら、ターンテーブルが回転を始める。ターンテーブルの向きが180度変わると回転は自動的に止まり、運転士がバスのドアを開いて乗客が下車する。荻窪駅行きの出発は、ドアを閉めてそのまま前進し、左にハンドルを切って来た道を引き返す。ターンテーブルの上で乗り降りできるという点でも珍しいバス停だ。

関東バス・南善福寺(出発)関東バス・南善福寺(出発)

関東バスによると南善福寺にターンテーブルが設置されたのは1981年。バス停はそれ以前からあるので、バス車体の大型化に伴い敷地内での転回がきつくなってきたのだろう。現在設置されているターンテーブルは2004年5月に五光製作所が作ったもの。やはり関東バスによると、その時に全改修工事を行なったという。つまり2代目ターンテーブルになる。輸送用機械器具メーカーの五光製作所は取扱品目が多彩で、新幹線や在来線、高速バスのトイレシステムでは大手だ。

南善福寺バス停は住宅地の中にある。バス会社の営業所や乗務員の詰め所はなく、屋根付きの小さなベンチと自動販売機があるだけ。善福寺池のそばに転回所を設けられなかったので、ここまで路線を引いたのかもしれない。昼間だと、どのバスも2~3人が降り、2~3人が乗るような、静かなバス停だ。

荻36は荻窪駅北口を平日朝~昼は片道毎時5本、夕~夜は毎時4本、休日は終日毎時4本ペースで発車している。これから暖かくなる季節、公園やミュージアムなどを訪れる際に、珍しいバス停を合わせて体験するのもいいだろう。なお、ターンテーブル上や周辺は立ち入り禁止だ。バスの出入りやほかの車、バス利用者や付近の歩行者に注意して、安全に見学しよう。

東武バス・和光市駅東武バス・和光市駅

バスに乗客を乗せたまま回転するターンテーブルは、善福寺南のほか、伊予鉄バス「道後温泉」駅前バスターミナル(愛媛県松山市)や、同じく四国の海部観光「徳島駅前」営業所(徳島県徳島市)にある。乗客を乗せずに回るタイプは、東京付近では都営バス「目白駅」(東京都豊島区)、東武バス「和光市駅」(埼玉県和光市)、朝日バス「桶川駅」(埼玉県桶川市)、関越交通「後閑駅」(群馬県みなかみ町)などにある。

バス用ターンテーブルは、駅前広場の整備などに伴い数を減らしているようで、東京付近では、「高尾駅」(東京都八王子市)、「東村山駅」(東京都東村山市)などが近年廃止された。桶川駅のターンテーブルも、区画整理の完成によって近い将来に廃止されると思われる。



> 絶滅危惧種? バスが直角に発着する櫛形バスターミナル
https://response.jp/article/2025/12/30/405451.html

> バスターミナルに少数派の「円形アイランドバース」反時計回り運用の実例と特徴
https://response.jp/article/2025/12/28/405404.html

> “ギザギザのこぎり形”バスターミナルが増えてます
https://response.jp/article/2026/01/21/406337.html

> 日本一高いバスターミナルは? 名古屋、渋谷、新宿、難波…
https://response.jp/article/2025/12/19/405012.html

《高木啓》

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