自動運転、高度運転支援(ADAS)に関するニュースまとめ一覧(78 ページ目)

自動運転の世界は、いまどんなフェーズを駆け上がり、どこへ向かっているかーーー

そのヒントは、国内で自動運転の舵取り役を担う戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の動きを俯瞰するとみえてくる。SIPは、内閣府がリーダーシップをとり、府省庁の枠や旧来の分野を超えたマネジメントにより科学技術イノベーションを実現するために2014年に創設された国家プロジェクト。

2019年7月までSIP自動運転推進委員会構成員を務め、現在は国土交通省車両安全対策委員、経済産業省・国土交通省自動走行ビジネス検討会委員でもある、国際自動車ジャーナリストである清水和夫氏にSIP 第1期から第2期へと向かう自動運転分野のいま、サポカーと自動運転、物流・移動サービスとオーナーカー、安全と安心感、快適性といった、自動運転まわりのトレンドを聞く。

聞き手は、SIP自動運転推進委員会構成員でモータージャーナリストの石井昌道氏。


清水和夫氏

清水:いまニュースは、MaaS(Mobility as a Service シームレスにつなぐ新たな移動)とかトラックの自動縦列走行やロボットタクシーに注目が集まって、オーナーカーの自動運転は高額な高級車だけにある機能にみえて一般ユーザがついてこないという感じですよね。

需要や関心度としては、過疎地や物流の課題を救う手段として物流移動サービスのほうが高い。オーナーカーの自動運転フェーズはいま高速道路のなかにあって、歩行者事故の分野にはまだ至ってない。だからまだ「高速道路を行く高級車の車内でハンドルから手を離してスマホや雑誌をながめる」といったイメージしか浮かばないかもしれない。

でもね、最初は高額な高級車の自動運転技術であっても、その実現がないとレベル4へもステップアップできないし、オーナーカーがレベル3で培った技術は、物流移動サービスにも波及するから、やっぱり物流もオーナーカーも両面から進化していかないと。

石井:なるほど。では、安全と快適性について。これはどう違うのか。

清水:すでにACC(Adaptive Cruise Control)などはドライバーは当たり前のように使う機能に普及した。前のクルマにロックオンして追従していけば楽だし、最も左の走行車線を一定の速度で行くという選択もできる。そういう意味ではACCは自動車メーカーでは快適技術として位置づけられていた。で、ACCの延長線上に自動運転の技術が生まれてくるとは思いますけどね。

石井:安全と快適性のなかに、安心が入ってこないと、クルマとドライバーが共存できませんよね。

清水:これはもう永遠のテーマで、たとえばタイヤのグリップ性能とウェット性能のように、安全基準を満たしていても安心感はないという事象っていっぱいありますよね。ユーザがその製品に共感できるか否かは、やっぱり「安心かどうか」なんですよね。さらに安心なくして快適はないから、ユーザ目線でいうと安心が前提にあって、安心だから快適があって、楽しさもある。だから底辺は安心、その上に順に快適、楽しさがのる。

清水和夫氏

石井:開発現場では「開発すればするほど、壁が立ちはだかる」っていいますね。やはりレベル3はそうかんたんじゃないと。

清水:大事なのは社会やユーザが何を求めて、自動運転を手に入れたらどんな幸せがあるのか。カスタマーベネフィットみたいなところまで考えていかないと。いっぽうで、自動運転車両は高い買い物なので、スバルのアイサイトを10万円でつけるか、100万円の自動運転機能付き車両を買うかもいろいろあると想うし、駆ってくれないと技術は進歩しないし、普及しないとコストは下がらないし、と。負のスパイラルに陥っちゃう。

石井:その先はけっこう難しそうですね。

清水:高級車から自動運転レベル3が入ってきて、こんどはいかに大衆車に自動運転技術を入れ込んでいくかがカギですよね。でも日本はこれまで、軽自動車にエアバッグとプリテンショナーベルトを一気に導入させた実績を持つ国だから、「これがいいんだ!」って確信したら、オールジャパンでダーッてかなりの勢いで普及すると思いますね。

だから軽自動車側からサポカーが進化して、高級車カテゴリから自動運転がすすんでごその技術が大衆車へおりてくる。その出会うポイントがプリウスとかカローラといったCセグメントで、2024年か2025年といわれてますよね。


インタビュー全文はこちら


  • SIP cafe 自動運転ガイド
  • SIP cafe とは

    SIP cafe とは

    『SIP cafe』は直面する次世代モビリティについて考え、自動運転のいま、自動運転がもたらす未来社会について情報を発信していくコミュニティサイトとして2019年10月に開設。一方的な最新情報の発信だけでなく、広く多くの人たちが集まって議論していくための“広場”としての役割を担う。SIP cafeの主宰であり“マスター”の清水和夫氏は、「反対する意見もどんどんぶつけあって、議論していく場所にしたい」と語っている。

    » 詳しくはこちら

自動運転、高度運転支援(ADAS)特別編集(78ページ目)

グーグル「ウェイモ」、第5世代の自動運転システム発表…検出性能を向上 画像

グーグル「ウェイモ」、第5世代の自動運転システム発表…検出性能を向上

自動車 テクノロジー
ZF、自動運転分野の研究開発を強化 画像

ZF、自動運転分野の研究開発を強化

自動車 ビジネス
自動運転サービス導入を目指す市町村を支援 国交省 画像

自動運転サービス導入を目指す市町村を支援 国交省

自動車 社会
自動車産業に重要な『シミュレーション』で先端を走るアンシス社のプログラム 画像

自動車産業に重要な『シミュレーション』で先端を走るアンシス社のプログラムPR

自動車 ビジネス
VWのコネクトや自動運転の新組織、1万人以上に増員へ…2025年までに 画像

VWのコネクトや自動運転の新組織、1万人以上に増員へ…2025年までに

自動車 ビジネス
自動運転ロボット ZMP『ラクロ』に試乗---乗り味は想像以上に快適だった 画像

自動運転ロボット ZMP『ラクロ』に試乗---乗り味は想像以上に快適だった

自動車 テクノロジー
自動運転の使い方「ドライバーまかせ」で大丈夫?「レベル3免許」の提案【岩貞るみこの人道車医】 画像

自動運転の使い方「ドライバーまかせ」で大丈夫?「レベル3免許」の提案【岩貞るみこの人道車医】

自動車 社会
5Gを活用、高速道路でトラック隊列走行 実証実験が成功 画像

5Gを活用、高速道路でトラック隊列走行 実証実験が成功

自動車 テクノロジー
政府、2020年度もスマートシティ関連事業を支援…自動運転モビリティサービスなど 画像

政府、2020年度もスマートシティ関連事業を支援…自動運転モビリティサービスなど

自動車 社会
VW ポロ、セーフティパッケージにレーンキープアシストシステムを追加 画像

VW ポロ、セーフティパッケージにレーンキープアシストシステムを追加

自動車 ニューモデル
自動運転の経路計画から危険動作を検出 手法を開発 画像

自動運転の経路計画から危険動作を検出 手法を開発

自動車 テクノロジー
交通事故の捜査・調査におけるデータの活用…自動運転の実用化へ向けて 画像

交通事故の捜査・調査におけるデータの活用…自動運転の実用化へ向けて

自動車 社会
先進運転支援システムの正しい理解を訴求するビデオ 国交省が制作[動画] 画像

先進運転支援システムの正しい理解を訴求するビデオ 国交省が制作[動画]

自動車 テクノロジー
農業にこそ自動運転を!未来を切り拓く、クボタの試み 画像

農業にこそ自動運転を!未来を切り拓く、クボタの試み

自動車 ビジネス
VW ゴルフ 新型の「Car2X」通信、先進安全技術賞を受賞…ユーロNCAP 画像

VW ゴルフ 新型の「Car2X」通信、先進安全技術賞を受賞…ユーロNCAP

自動車 テクノロジー
もっと見る