【日産『ティーノ・ハイブリッド』 Vol. 5】開発者が弁明、なぜ『ティーノ・ハイブリッド』の10・15モード燃費がよくないのか

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【日産『ティーノ・ハイブリッド』 Vol. 5】開発者が弁明、なぜ『ティーノ・ハイブリッド』の10・15モード燃費がよくないのか
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『ティーノ・ハイブリッド』の10・15モード燃費は23.0km/リットル。数字だけで比較すると、トヨタ『プリウス』の28.0km/リットル、ホンダ『インサイト』の35.0km/リットルよりだいぶ劣っている。

もちろん、ベースとなった『ティーノ』は他の2車と異なり、ハイブリッド専用車として設計されたクルマでもないし、より大きく、重いクルマであるから、燃費の数値が単純に比較できないことは理解できる。

それにしても、日産は市販ハイブリッド車では3番手として「新型車」をデビューさせるわけである。だから「なぜ、ライバルより燃費のデータがいいハイブリッド車を開発しなかったのか?」というギモンは、誰でも胸に抱くものだろう。

「我われとしても、もちろん技術的には、他社さんのハイブリッドよりも10・15モード燃費のいいハイブリッド車を作ることもできたんです。マーチみたいな小型車ベースで作ればね。でも、今回はあえてそうしなかったんです」と、『ティーノ・ハイブリッド』のパワートレイン主管・前田博正さんは我われの素朴な疑問に答えてくれた。

「小さいクルマでハイブリッドカーを作れば、たしかに10・15モード燃費は良くなります。しかし、小さいクルマに乗る方というのは、じつはあまりクルマに乗らないんですね。年間の走行距離が5000kmくらいなんです。これに対して、『ティーノ』のようなRV車や大きいクルマにお乗りの方は年間の走行距離が多いんです。年平均1万kmは走られます。我われは燃料の節約やCO2の発生量の削減を考えるなら、クルマ1台単位より、全体で考えるべきだと思っています。ですから『ティーノ』のような大きなクルマをハイブリッド化して燃費をよくしたほうが、小さなクルマをハイブリッド化するより、社会全体でのガソリンの消費量は減るはずだ、と考えた訳なんです」

そういうわけで「日産は絶対値を捨てて、面積を取った」と前田さんはいう。この「面積」というのは、いってみれば「燃費の向上率」とか「CO2の削減率」といった「達成率の大きさ」という意味であり、時間・空間ともに「実際に路上をそのクルマが占める面積(割合)」の意味でもあろう。そういう意味では『ティーノ』のような「大きくて、年間走行距離の多いクルマ」をハイブリッド化するのは、たしかに意味があるといえる。

それにしても、なぜ『ティーノ』がベース車両に選ばれたのか? 「じつはハイブリッドの開発は4年前から始まっていて、その時点では『ティーノ』は日産の次世代を担うクルマとして、計画生産台数が一番多くなるハズのクルマだったんですよ(笑)。それで次世代パワートレインを積むことも当初から考えていたんです。それに、ハイブリッド車の大口顧客である官公庁の方から“せめて机くらい運べるような、荷物の積めるハイブリッドカーがほしい。でないと業務に使えないから”という要望もいただいてましたので……」(前田さん)

こうした「見込み違い」と「官庁の要請」も『ティーノ・ハイブリッド』誕生の要因になっていたのだった。

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