第35回東京モーターショーには、21世紀に相応しい技術を採用した多くのコンセプトカーが出品された。中でも国内メーカー8社は様々なハイブリッドシステムやその応用技術を採用したコンセプトカーを展示した。
ホンダの『デュアルノート』は、ホンダ独自のハイブリッドシステム(IMAシステム)を組合せたミッドシップ4シーター4WDスポーツだ。後輪をIMAシステムで駆動し、前輪を2個のモーターで左右別々に駆動する。左右の前輪を個別に駆動するのは、駆動力によるヨーレート(車体の向きの変化率)制御を可能にするため。旋回時に外側前輪に内側前輪より大きな駆動力を伝えることで、旋回性能を向上できる。ホンダは、プレリュードに機械式のダイレクト・ヨー・コントロール(DYC)を採用したが、それと同じ機能をモーター駆動で実現したのが、デュアルノートの前輪個別駆動だ。
三菱の『SUP』に採用された4WDシステムは、デュアルノートの4WDシステムを前後逆にしたシステムだ。前輪をハイブリッド駆動し、左右の後輪を2個のモーターで個別に駆動する。三菱も駆動力によるヨーレート制御(アクティブ・ヨー・コントロール、AYC)を『ギャラン』などに採用しており、SUPではモーター駆動のAYCを採用した。
ただし、SUPのモーターは42ボルト(バッテリー電圧36ボルト)仕様であり、電圧はホンダのIMAシステムより低く、モーターの出力も低いはずだ。AYCの担当者は、「モーター駆動のAYCではエンジンで発電機を駆動し、その電力をモーターに供給するのでエネルギー効率が低い」と語っている。機械式のAYCでは、エンジンの動力を直接後輪に伝えるので、動力伝達損失が少ないのだ。