岩手県警は8日、前日の7日夜に東北自動車道で発生し、3人が死亡した交通事故が自動車窃盗団の密売事件に関係する可能性があるとして、死亡した3人について捜査を進めていることを明らかにした。
この事故は7日の午後7時20分ごろ、東北自動車道下り線の北上ジャンクション付近で発生した。青森方面に向けて走っていた乗用車が道路左側のガードレールに接触。体勢を立て直そうとしたが、雨で濡れた路面でスリップし、そのまま中央分離帯に激突した。この事故でこのクルマに乗っていた3人がいずれも路上に投げ出され、1人が即死。2人は収容先の病院で死亡している。
警察では当初スピードの出しすぎによる事故とみて調べを進めていたが、事故を起こしたクルマのナンバープレートと、車内にあった車検証のナンバーが異なることが発覚。車検証のナンバーを照会したところ、このクルマ(トヨタ『セルシオ』)が前日に千葉県内で盗まれ盗難届けが提出されていることがわかった。
さらに乗っていた3人の所持品を調べた結果、いずれも免許証などの身分証明書を持っていなかったことが判明。しかしキャッシュカードなどに記載された名前や、指紋などの記録から8日午前までに3人の身元が明らかになった。
警察ではこの3人が自動車窃盗団に関係し、クルマを東北地方に輸送する際に事故を起こした可能性が濃くなったとしている。岩手県内では今年3月、首都圏で盗んだクルマを岩手県内で転売していた暴力団員が逮捕されており、このグループとの関連なども含めて、引き続き慎重な捜査を進めていく方針だという。