「後続車が追突してくるとは思わなかった」---殺人ドライバーの主張は通じるか

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あおってくる後続車に腹を立て、故意に急ブレーキを掛けて自分の運転していた大型ダンプカーの後部に追突させ、後続車を運転していた20歳の男性を死亡させたとして殺人罪に問われている31歳のトラック運転手に対する初公判が23日、静岡地裁で開かれた。被告は起訴事実を全面的に否認し、真っ向から争う姿勢を見せている。

この事故は今年8月21日の未明、静岡県島田市の県道で起きた。大型ダンプカーに後続の乗用車が追突するという事故で、運転手は意識不明の状態(後に病院で死亡)で発見された。ダンプカーの運転手は警察に対し、「前方を走るクルマが急ブレーキを掛けたので、こちらも追突を避けるために急ブレーキを掛けたら後続のクルマが突っ込んできた」と供述した。ところが事故現場には大型ダンプカーのブレーキ痕しか残されておらず、この点を追及したところ、「あおってくる後続車に腹が立ち、脅かしてやろうと思った」と、故意にブレーキを掛けたことを認めたために殺人未遂容疑で逮捕した。(被害者の死亡により、後に殺人容疑に切り替えて送検)

23日の初公判で、被告は起訴事実に対して「間違っています」と主張。現場付近で急ブレーキを掛けたことは認めたものの、その理由は「止まって後続車のドライバーに文句を言おうと思ったためであり、後続車が衝突するとは夢にも思わなかった」と供述。弁護側も警察が押収し、証拠として提出されたタコグラフなど大半の証拠を不同意、つまり証拠能力を認めないとして全面的に争う姿勢を見せた。

これに対して検察側は「被告は自分のダンプカーを何度か追い越そうとしたものの、なかなか追い越さない被害者運転のクルマに腹を立て、自分をバカにしていると思い込んだ」と指摘。事故直前に80km/hまで加速し、被害者のクルマが10メートル後方に位置していることを確認。この際にも「たとえ追突したとしても、それは車間距離を確保していない後続車の責任として主張できる」という考えがあり、それを認識した上で故意に急ブレーキを掛けたとする取り調べ時の供述内容を示した。

また、押収したタコグラフでも事故直前に著しい加速をしていた形跡があると指摘。相手に危害を与える目的があったと主張した。

裁判は今後も続けられる。

《石田真一》

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