国道の工事現場でくぼみにハンドルを取られてバイクが転倒し、トラックにはねられて17歳の少年が死亡した事故の責任を問う民事訴訟で仙台高裁は14日、バイクが転倒するほどのくぼみを生じさせた責任は施行会社にあるとの判断を行い、業者と国の双方に1520万円を支払うように命じる判決を言い渡した。
判決によると、問題の事故は1997年6月5日に発生している。宮城県津山町内の国道45号線をバイクで走っていた当時17歳の少年が、国道工事現場の迂回路で深さ9センチのくぼみにハンドルを取られて転倒。対向車線に投げ出されたところをトラックにはねられて死亡したというもの。
少年の両親は「バイクが転倒するほどのくぼみを道路に生じさせ、その告知を行わなかった責任は工事の施行業者と道路管理者の国にある」として、少年の両親が総額6070万円の賠償を求めて提訴していた。昨年5月、一審の仙台地裁判決では「バイクがくぼみに乗り入れたとする証拠が無く、認定できない」として訴えを棄却。これを不服とする原告側が控訴していた。
14日の控訴審判決で仙台高裁の原田敏章裁判長は「深さ9センチの段差が事故原因となったことは明らか」として、道路工事で生じたくぼみが事故の原因であったことを認定。その上で「施行業者は路面にくぼみを生じさせた直接の責任があり、国にはそれを是正させようとしなかった道路管理者としての責任がある」として、連帯して1520万円の賠償金を支払うように命じる判決を言い渡した。