整備不良を放置---事故の遠因でも送検対象

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鳥取県警は24日、昨年10月に米子自動車道・谷川トンネル内で発生した大型トラック同士の追突事故について、事故を起こす原因となったのは前方を走っていた大型観光バスが吹き上げた白煙にあったとして、このバスの運転手を業務上過失致死容疑で書類送検する異例の処置を行ったことを明らかにした。

鳥取県警・高速隊の調べによると、問題の事故は昨年の10月10日に発生している。同日の午前10時ごろ、鳥取県溝口町内の米子自動車道・上り線の谷川トンネルで、一畑バスの大型観光バスがエンジントラブルを起こして白煙を吹き上げ、それがトンネル内に充満した。

トンネル内の視界は一時数メートルまで悪化し、そうした状況に危険を感じて減速した大型トラックの後部に別の大型トラックが追突する事故が発生。この事故で追突した側の運転手が全身を強く打って死亡している。白煙を吹き上げたバスはエンジン火災を起こしており、38歳の運転手はトンネルから出た直後に消火器を使い、自力で火を消し止めた。

事故直後からバスの整備不良が白煙を吹き上げた原因でないかと言われ、中国運輸局もバス会社への立ち入り調査を行うなどしていた。

鳥取県警では、バスの運転手が事故発生前にエンジン不調を感じ取っていたことに着目。運転手がトンネルに入る前に適切な処置を行っていれば、事故を未然に防げた可能性が高いと結論づけた。その上で直接の当事者ではないものの、大型トラック同士の衝突事故の遠因になったと断定。運転手を業務上過失致死容疑で書類送検することを決めた。

煙による視界不良で生じた事故でトラブルを起こした運転手が責任を問われたケースは、昨年夏に兵庫県淡路町内の神戸淡路鳴門自動車道で起きた多重衝突事故のケースなどがあるが、今回の事故ではバスそのものが被害を受けたわけではなく、全国的にみても異例だという。

また、衝突事故で死亡した大型トラックの運転手についても、「視界が失われていく状況で減速などの安全対策を怠った責任は大きい」として、追突された側の運転手にケガを追わせた業務上過失傷害容疑で被疑者死亡のまま同日までに書類送検した。

《石田真一》

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