栃木県警は27日、1998年3月に発生した死亡ひき逃げ事件の証拠品を氏家署の担当者が誤って廃棄、紛失していたことを明らかにした。県警の監察課は当時の交通課長ら4人に対して訓戒や注意の懲戒処分を実施している。
栃木県警・監察課の調べによると、死亡ひき逃げ事件の物証などを紛失したのは氏家署の交通課員。問題の事故は1998年3月下旬、氏家町内の町道で発生した。死亡したのは当時74歳の男性で、この男性の着衣や履物など12点を事故に関する証拠として遺族側から提出を受け、警察署内で保管していた。事故を起こしたとみられている容疑者は指名手配されているが、事故から5年の時効を前にしてもまだ逮捕されていない。
ところが2001年2月、こうした証拠品を収めた部屋の改築工事が行われた際、課員が誤ってダンボール箱を不用品として廃棄。物証はそのまま焼却処分されてしまったらしい。昨年11月に遺族側から「時効も迫ったことだし、返還してほしい」との依頼を受け、調査したところ紛失が発覚したという。
当時の氏家署の交通課長は監察課の調べに対して、物証を管理する担当者が人事異動した際、新任の担当者に適切な引継ぎが行われていなかったなどの不手際を認めたため、懲戒処分の実施を決定。事件当時、氏家署の交通課に所属していた警部補を本部長訓戒に。同課課長と部下の巡査部長2人の計3人が本部長注意の処分とした。