13日午後、静岡県富士市内で解体中のビルの壁面が道路側に崩壊し、信号待ちをしていたクルマ2台を直撃するという事故が起きた。この事故で崩壊した外壁の下敷きとなったクルマを運転していた2人が即死。壁と共に落ちてきた作業員1名が死亡、もう1人が意識不明の重体となっている。
静岡県警・富士署の調べによると、事故が起きたのは13日の午後3時35分ごろだったという。富士市吉原のビル解体現場で、本来は建物内側に崩すはずだった外壁が道路側に落下。8m下の市道で信号待ちをしていた6−7台のクルマのうち、前から3台目と4台目のクルマを直撃した。落下した壁面は数トンに及んだとみられ、3台目のクルマは全体的に押し潰され、4台目のクルマは運転席付近を中心に原型を留めないほどに破壊された。
この事故で3台目と4台目のクルマを運転していた2人が圧死。外壁とともに路上に落下した作業員2名のうち、1人が即死し、もう1人が意識不明の重体となっている。3台目のクルマの後部座席付近に乗っていたとみられる2歳の男児は、シート間の隙間にすっぽりと収まり、奇跡的に一命を取り留めた。
事故の原因はわかっていないが、直前まで外壁の鉄骨を切り離すための切断作業をバーナーを使って行っており、本来は内側へ落ちるはずの壁が、何らかの原因で外に向かって崩落していったらしい。事故が起きたビルは1969年に建築されたもので、テナントの大手スーパーが1994年に撤退して以後は空きビルとなっていたという。解体作業は昨年10月から始まっていたが、ビルの傷みが激しいために重機を使った作業が事実上できず、人力に頼っていたとされる。