当時交際していた19歳の女を「離婚した元の妻」と称し、道路交通法違反(無免許運転)の公判中に偽証させていたとして偽証教唆罪に問われた22歳の男に対する判決公判が14日、福岡地裁で開かれた。裁判官は「極めて悪質」として懲役10カ月の実刑判決を言い渡した。
この男は昨年8月、三度目の無免許運転が発覚し、道交法違反(無免許運転)の罪で福岡地裁に起訴された。そして同11月13日に行われた公判の際、当時交際していた19歳の女を「離婚した元の妻」と偽らせて出廷させ、「今は真面目に働いている」、「離婚はしたが娘と3人で同居を続けている」、「私が責任持って被告を監督する」などと証言。これが有利に働き、男は執行猶予付きの有罪判決を受けた。
ところが証言内容を不審に思った検察側が追跡調査を行ったところ、女性が別れた妻でなく、別人であることが判明。女を偽証容疑、男を偽証教唆容疑で逮捕した。男は「刑務所行きを避けるため、自分に有利な証言をするように依頼した」と自供。女も「強く頼まれたので断れなかった」と関与を認めていた。
14日の判決公判で福岡地裁の冨田敦史裁判官は「裁判官や検察官を欺いた大胆な犯行」と認定。その上で「全ては身から出た錆。自分がどれほど悪質なことをしたのか自覚してください」と諭し、懲役10カ月の実刑判決を言い渡した。今回の判決が確定した場合、道交法違反事件での執行猶予も取り消され、被告は10カ月も多く服役することになる。
裁判で替え玉の証人が使われるという例はあまりなく、裁判所でも証言の前に身分証明証で本人確認をするなどの作業はしないという。