【データ不正使用問題】タイピングミスが他社の地図に再現!?

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ゼンリンは19日、同社が発行する住宅地図やパソコン用の地図ソフトを、インクリメントP(IPC)が無断で大量にコピーするなどの不正使用を行っていたことを明らかにした。ゼンリン製の地図に生じていた誤りが、IPC製のカーナビ用地図にも誤ったまま再現されていたことからデータの不正利用が発覚したという。

これはゼンリンが19日に各報道機関に対して発表したもの。ゼンリン側の主張によると、同社が制作を手掛けた住宅地図に誤記載されていた建物名や交差点名などが、IPCが制作を手掛けたカロッツェリア(パイオニア)ブランドのカーナビ用地図でもそのまま表示されていることがユーザーの指摘によって判明した。

同社が調査を行ったところ、記載にミスが生じていたとされる場所は複数に及んでいることがわかった。この記載ミスは建物や交差点の名称変更によって生じたものではなく、明らかなタイピングミスによって発生していたものが中心で、その誤りが他社製の地図にも再現されているのはおかしいと判断。5月下旬、盛岡地裁に対してIPCの地図を制作している東北開発センター(岩手県盛岡市)での証拠保全を申請した。

証拠保全とは訴訟に入るまでの間、証拠が処分されるなどして失われる恐れ(証拠として使えなくなる恐れ)がある際に、先行して証拠を押さえてしまうという裁判手続きの一種。通常は医療過誤訴訟などでカルテを確保する場合に使われることが多い。今回は相手先の会社内に不正利用の証拠があると判断したため、このような手段を使ったとゼンリン側はコメントする。

盛岡地裁は今月6日、ゼンリン側の主張を受け入れ、同センターに対する証拠保全決定を下。17日に盛岡地裁の裁判官、書記官、調査官同席の元、ゼンリン側の社員が同センターヘ立ち入っての調査を行った。

その結果、同センター内からは複製(コピー)された住宅地図が多数発見されたほか、ゼンリン製のパソコン用地図ソフト『電子地図帳Z[zi:]』がイントラサーバーにインストールされており、LANを通して100台以上のコンピューターで利用できる可能性が高いこともわかった。不正利用の確定については今後さらに調査を続けていくという。

ゼンリンではIPCの行った行為が「著作権侵害にあたる」と判断するとともに、電子地図の競合メーカーであるという点から見た場合には「知的資産や労力にただ乗りして競合品を制作・販売する不当・不公正な競争行為」であるとも結論づけ、今後は法廷で争う可能性も示唆している。

IPC側は取材に対して「詳細は現在調査中だが、現地調査の際に住宅地図をコピーして持参することはあったようだ」とコメントしている。

《石田真一》

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