草津市議会(滋賀県)が11日に開催した4月定例会本会議の代表質問において、前市長が公約に掲げて廃止した「黒塗りの市長専用車」を、今年3月に当選した新市長が復活させる方針を持っていることが明らかになった。
全国の自治体では黒塗り公用車を廃する流れが続いているが、これが再び導入された場合には時代に逆行するとも受け取られ、市民からの反発を呼ぶことは必至の情勢だ。
これは草津市議会が11日に行った4月定例会本会議の代表質問によって明らかになったもの。
草津市では2003年2月に当選し、後援会幹部が公職選挙法違反容疑で逮捕されたことで今年1月末に辞職を表明した前市長(自身も後に同容疑で逮捕・起訴)が、選挙時に「黒塗りの市長専用公用車を廃止する」と公約を掲げた。
当選後は、2000年6月から市長専用車として年額約103万円でリースしていたトヨタ『クラウン』を廃止。新たに年額約42万円でトヨタ『プリウス』を導入し、これを市長専用車として使っていた。
クラウンのリースを中止したことで、リース会社は市に対して違約金を請求。市は違約金を払わず、リースしていたクラウンを316万9000円で購入するという手段を選んだ。そして所有権が市に移った段階で転売のためのオークションを開催。このクルマをほぼ同額となる317万2000円で売却することに成功している。
現市長は「車体の小さなプリウスでは安全性に欠ける。市長の職務は常に危機管理が必要で、安全性の高いクルマで移動しなくてはならない」と主張。後席にもエアバッグを装備した高級乗用車を年額約110万円でリース。7月から使い始めたいとして、導入に向けた予算調整にも入っているという。
公用車をハイブリッド車にするという動きは全国に広まりつつあり、すでに一般化している。多人数乗車が可能な『エスティマ・ハイブリッド』を選ぶか、ハイブリッド車の代名詞ともいえる小型車のプリウスを選ぶかは公用車のニーズによって異なるが、一般に対しても「低公害車」というイメージが強いプリウスを選ぶ自治体は多い。
塗装についても、かつてのステータスシンボルともいえた“黒塗り”は確実に減少する傾向だ。
そうした状況下での黒塗り専用車復活が、草津市民の反発を招く可能性は高い。リース料の安いクルマを使うことが財政の支出抑制につながっていたことからも、従来より高いリース料の支出は議論を呼びそうだ。