保険金目的の自殺幇助に計画性、実刑判決

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借金の穴埋めを保険金で行うために自殺を決意した実父を車道に突き飛ばし、交通事故死させることを手助けしたとして、自殺幇助罪に問われた男に対する判決公判が26日、京都地裁で開かれた。

裁判所は「保険金を目当てに自殺を幇助した」と認定し、被告に懲役3年の実刑判決を言い渡している。

事件は昨年3月9日の午前1時ごろ発生している。京都市下京区五条通新千本東入付近の国道9号線に当時68歳の男性が飛び出し、走ってきた乗用車にはねられて死亡した。

当初これは通常の交通事故として扱われたが、男性をはねたクルマのドライバーは「男性が横から飛んできた」と供述。さらには対向車線で事故の瞬間を目撃したドライバーが「被害者の男性は何者かに強く突き飛ばされ、車道に転倒したように見えた」と供述するなど、事故としては不自然な点が明らかになった。

事故発生を通報したのは男性の長男にあたる人物だったが、後の調べで死亡した男性には多額の保険金が掛けられていることが判明した。死亡した男性は自らの借金を死亡保険金で穴埋めすることを長男らに提案したこともわかり、事故の状況からも長男が男性の自殺を幇助した(車道に向けて押し出した)疑いが濃くなった。

このため、警察では長男を自殺幇助容疑で送検。検察も同罪で起訴していた。

26日に行われた判決公判で、京都地裁の氷室真裁判長は、被告が事件の直前から「父は痴呆症で夜間に徘徊するようになってしまった」と周囲に漏らし、深夜から未明に掛けの外出に不自然さを無くすような隠蔽工作を進めていた点について、「このことからも犯行は計画性があった」と指摘した。

また、男性をはねたドライバーや目撃者の証言については「信用に値する」として、被告の「父の背中を押していない」という主張を一蹴。被告が男性の背中を押して車道側に突き飛ばしたことを認定した。

その上で被告の犯行を「保険金と実父の命をはかりに掛けた非道な犯行」と位置づけ、被告に対して懲役3年の実刑判決を命じた。

被告側は公判の最中から無罪を主張しており、判決を不服として控訴するものとみられている。

《石田真一》

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