裁判所内で罰金を騙し取られた5人、起訴猶予処分に

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検察庁・水戸地検は5日、今年9月下旬に水戸簡裁内で詐欺に遭い、罰金相当額の現金を騙し取られた5人の交通違反者に対し、「罰金相当額の財産的被害を受けた」として、起訴猶予処分にしていたことを明らかにした。

問題の事件は9月28日に発生している。

同日の午前8時30分ごろ、茨城県水戸市大町1丁目にある水戸地裁に交通違反の略式手続きのために訪れた21歳から60歳の男女5人に対し、裁判所の職員を装った50歳ぐらいの男が近づき、「今日は混んでいるので裁判所2階の別室でやります」などと声を掛けた。

そして地裁2階にある小部屋に案内。そこで罰金額として1人あたり30万円の支払いを求めた。

違反者5人は本物の職員と誤認し、言われるがままに現金を支払い、結果として125万円が男の手に渡ったが、この男が姿を消した直後に詐欺の被害に遭ったことが判明した。

5人が案内された小部屋は裁判に訪れた当事者の待機場所となる待合室で、基本的には誰もが自由に立ち入りできる場所だった。

警察では「過去に例がない事件」として、極めて悪質な詐欺事件として捜査を開始したが、5人の違反者が納めなくてはならない罰金は宙に浮いており、検察がどう判断するかが注目されていた。

検察は検討を重ねた結果、違反者5人については「交通違反の事実は認められるが、応分の財産的被害は受けた」と判断。社会的な制裁を受けたものとみなし、全員を起訴猶予処分を決定した。

交通違反での起訴猶予処分は事実上の不起訴判断で、罰金を支払う必要はなくなる。ただし、免許証の点数については行政処分であり、こちらの実効はそのまま残る見込み。

罰金相当額の詐欺被害に遭ったことで起訴猶予処分となるのは過去に例が無く、極めて異例の判断だが、詐欺の現場が裁判所内だったということもあり、いわばお膝元で発生した警備上の不手際を最大限考慮したとも考えられる。

《石田真一》

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