遺棄されてから死んだのか、殺されたのか

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79歳の男性をクルマではねて重傷を負わせ、さらにはこの男性を山中に遺棄したとして、殺人や死体遺棄などの罪に問われた男に対する論告求刑公判が17日、横浜地裁小田原支部で開かれた。検察側は懲役16年の実刑判決を求めた。

事件は昨年11月9日に発生している。同日の午後5時45分ごろ、平塚市桃浜町付近の市道で33歳の男(当時)が運転する乗用車が道路を横断していた79歳の男性をはねた。

事故を起こした男は免許が失効していて無免許運転の状態。無免許運転が発覚することを恐れ、事故の目撃者に対して「病院に運ぶ」と言い残し、被害者をクルマに乗せて現場から走り去った。

しかし、男はそのまま自宅に直行。妻に対して人身事故を起こしたことを告白。この段階で被害者はまだ生存していたが、妻が被害者の体を揺さぶっても反応が無いことから「死んでしまった」と判断し、同日の深夜に遺体を静岡県裾野市まで運び、山中にある登山口の脇に放置した。

警察では目撃者からの通報で、周辺の病院へ被害者が運ばれていないか照会したが、確認できなかったため、事故現場で目撃されたクルマの所有者から任意で事情を聞いていたところ、所有者の男が事故を起こし、さらには遺体を遺棄したことを大筋で認めた。

警察は運転していた男を道路交通法違反と業務上過失傷害の容疑で逮捕した。

17日に開かれた論告求刑公判で検察側は、被害者の首の骨が折れていたことを指摘、さらに「死因を外傷性ショックだけで説明するのは困難」と指摘。「頸部が圧迫されたと考えるのが妥当で、これは被告が被害者の首を手で圧迫したと考えられる。これに合理的な疑いを入れる余地はない」とした。

被告を殺人罪で起訴したことの正当性を訴えるとともに「身勝手な犯行」と結論付け、裁判所に対して懲役16年の実刑を求めた。

これに対して弁護側は「頸部の圧迫には様々な可能性があり、被告本人も殺害を否定している」として、殺人罪は成立しないと主張した。

《石田真一》

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