宮城県警は2月27日、盗んだクルマを部品レベルまでに分解し、エンジンなどをインターネットオークションを使って転売していた35歳の男を盗品等有償処分あっせん容疑で逮捕した。
警察では宮城県内で多発しているダイハツ製軽自動車の盗難事件にこの男が深く関与している可能性があるとして、調べを進めている。
宮城県警・仙台南署、同・大河原署によると、盗品等有償処分あっせんの容疑で逮捕されたのは、富谷町内で在住する35歳の男。
直接の逮捕容疑となったのは今年1月下旬、男がダイハツ『ムーヴ』のエンジン1基をインターネットオークションに出品し、2月1日に落札した宮城県内の20歳代男性に約3万円で譲り渡したというもの。
このエンジンは本体の刻印番号から、昨年11月下旬に仙台市青葉区内で盗まれたムーヴに搭載されていたことが判明している。
宮城県内ではムーヴの盗難台数が他県と比べて突出して多く、昨年7月から8月にかけて、同県川崎町や加美町の山中で、分解してエンジンやトランスミッション、オーディオ関係の装備を取られたムーヴとみられるクルマが大量に発見されるという事件も起きた。
これらは約40台相当だったが、過去3年間には120台あまりのムーヴが盗難されており、警察の関係者も「他県と比較した場合には異常な数字。ムーヴに執着して盗みを続けているような気がする」とのコメントも出すほどだった。
今回逮捕された男が「解体工場」と称して使っていた仙台市太白区内の民家敷地内からは、38基ものムーヴ用エンジンを発見。昨年1年間には約20基のエンジンをインターネットオークションで転売していた記録もあり、約800万円の売り上げを出していた。
また、押収された38基のエンジンのうち、36基については川崎町や加美町の山中から見つかったムーヴに搭載されていた可能性が高く、本体刻印番号がこれに酷似しているとの情報もある。
警察の取り調べに対し、男はクルマを盗難したことについては全面的に否定。エンジンを入手した方法については「ロシア人から購入した。やばいクルマだとは聞いていた」などと供述。盗難車であることを認識しながら分解していたことは大筋で認めている。
警察では男が盗難に関与していた可能性もあるとして、男を厳しく追及。事件の全容解明を急ぐ方針だ。