5月30日にマイナーチェンジを行なった、トヨタのコンパクトカー『イスト』。今まではトヨペット店でも併売されていたが、今回のマイナーチェンジからネッツ店での専売車種となった。
ネッツ店には『ヴィッツ』も販売されており、同じ販売店で旧型ヴィッツをベースとしたイストを専売するのは難しくはないのだろうか。トヨタのコンパクトカーを総括するエグゼクティブチーフエンジニアの森坂学さんに話を聞いた。
「じつはヴィッツとイストのお客様は意外に競合しないんです。ヴィッツは1リッターがありますのでベーシック志向の強いお客様が多いのですが、イストに関しては趣味性が強く、あまりヴィッツを気にしている方は少ないようです」と説明。
では、最新のメカニズムとなった新型ヴィッツに対して、現状のイストの優位性はどこにあるのだろうか。
「イストの魅力は、あまり生活感がないところだと思っています。それはプロポーションやインテリアのデザインによるものが大きいと感じています。ヴィッツはトヨタの王道を行くコンパクトカーですが、イストはそこからエレガントやスポーティに振ったクルマを目指しています。それが今回のマイナーチェンジでスポーティな“A-S”というグレードを追加することで、より強まったと思っています」
さらに「ヴィッツはCVTですがイストは4速ATを踏襲しています。メカニズム的にはCVTのほうがメリットが大きいかもしれませんが、いまだにATを求める方もいらっしゃいますので、4速ATもバリエーションのひとつだと考えています。さまざまなクルマを提供できるのも、トヨタの強みでもあると思っています」とコメント。
実際にはイストとヴィッツはユーザーの志向が異なることで、競合しないのは意外なところ。新しいイストは、ベースモデルにあたるヴィッツが先に新型となったことで、現行イストとの差別化が進み、数多くあるヴィッツファミリーの1バリエーションが増えたといったところだ。