22日、フィアットとインド最大の自動車メーカー・タータは、自動車部門における協力関係を模索する覚書に調印した。覚書で交わされたのは、開発、部品、購買、製品流通の分野。両社でひとつの作業チームを発足させ、長・短期にわたる協力関係をさぐる。そのうえで見通しが立てば、数カ月中に正式な提携へと駒を進める。
今回の調印に関して、フィアットのマルキオンネ社長は、「私たちの提携戦略の新たな一歩」とコメントした。
フィアットとしては、81年から継続しているPSAプジョー・シトロエンとのワゴン・商用車共同生産、進行中のスズキとの新型四駆開発、そして先日行なわれた、新型「500」用プラットフォーム共用化に関するフォードとの覚書に次ぐ、現在有効な他社との協力関係となる。
タータ社の会長で創業家出身のラタン・タータ氏も、「最終的には共同開発やプラットフォーム共有まで発展させたい」との希望を表明した。
日本では馴染みが薄いタータだが、グループ本体は通信・化学から食品・ホテルまで91社・22万人を擁するインド屈指の巨大企業体。グループの従業員数で比較すると、フィアット(約17万9000人)より多い。
欧州では近年、トリノのカロッツェリア、イデア(I-DE-A)がデザインした小型車『インディカ』で市場開拓を試みている。またタータは、経営破綻した英ローバーにも、インディカを『シティローバー』の名で供給していた。