身の回りを見渡して、プッシュホンのボタンとキーボードのテンキーの配置を比べてほしい。ともに3行×3列のマトリックスながら、キーの配置順が上下反対になっているのがわかるだろう。これが統一されそうだ。
配列が異なる理由は、電話は通信用機器であり、いっぽう電卓やコンピュータは電子機器として発達し、それぞれ管轄する行政区分や標準規格が異なるからだ。電話機などの国際規格を担う組織がITU(国際電気通信連合)であり、コンピュータなどの電子機器はIEEE(電気電子学会)が規格や標準化を取り決めている。
電話において「ゼロ」は交換機に送るパルスが10個で成り立つ信号(パルスダイヤルの場合)であり、コンピュータにおいて「ゼロ」は数字の0を意味するビット列だ。過去にテンキーの配置統一が話し合われたこともあるが、それぞれ理由があって決めた配置なので、簡単には統一できない。国際的な標準化を管理する立場として互いに譲れないという事情もあったかもしれない。
ところが、そうもいっていられない技術が注目され始めた。「WiMAX」である。これは無線LANの規格である「802.11」の拡張版であり、携帯電話並みの電波の到達範囲を持ち、通信速度はこれまでの無線LANよりも速い。PCやPDAが携帯電話のようにネットワーク接続できるようになる技術だ。
あるいは、携帯電話がWiMAX対応になれば、地下や建物内から無線LAN経由で通話したり、インターネット接続や動画受信などにWiMAXを利用したりと、両者の可能性が広がる。
今後のネットワークビジネスでは、インターネットや携帯電話などをシームレスに考えなければならないだろう。