タクシー乗車中に、対向車線から逸脱してきた飲酒運転のクルマと衝突して死亡した乗客3人の遺族が、逸脱側のクルマに乗っていた男性らに損害賠償を求めた民事訴訟の判決が25日、名古屋地裁で開かれた。裁判所は約2億1200万円の支払いを命じている。
問題の事故は2004年2月22日の午前0時55分ごろ発生している。愛知県津島市蛭間町新田付近の県道で、100km/hを超える速度超過で走行していた乗用車が中央分離帯に衝突。その弾みで空に向かって飛び上がり、対向車線側を走行していたタクシーの真上に落ちた。
この事故でタクシーは大破。タクシーの運転手と、乗客の女性3人が頭や首の骨を折るなどして即死。衝突してきたクルマを運転していた24歳の男ら2人と、タクシーの乗客2人も軽傷を負った。逸脱側のクルマを運転していた男は飲酒運転に近い状態(基準量に0.01ミリグラム満たず)だった。
事故で死亡した3人の遺族は、クルマを運転していた男性と同乗者に対して損害賠償を請求。男性側は飲酒運転と高速走行の事実を認めたが、賠償額が高すぎるとして争う姿勢を見せていた。
25日の判決で、名古屋地裁の富田守勝裁判官は、事故当時タクシーに乗っていた客5人が、自らの子供を通じて知り合ったサークル仲間であり、それぞれに遺児がいることを指摘。「幼い子を残して先立った無念さは察するに余りある」として、賠償請求額約2億2300万円のうち、弁護士費用などの一部を除く約2億1200万円の部分を認め、支払いを命じている。