【ロサンゼルスモーターショー06】BMWが水素内燃式エンジンにこだわる理由

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【ロサンゼルスモーターショー06】BMWが水素内燃式エンジンにこだわる理由
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GM、ホンダ、フォード、日産などがFCV開発に着手、販売計画を発表する中で、究極のエコカーとして水素内燃式エンジンの『ハイドロジェン7』を打ち出したBMW。なぜBMWは独自路線を歩むのか、ハイドロゲン7の広報担当であるダニエル・クラマー氏に話を伺った。

クラマー氏は、ハイドロジェン7の技術について、「これはすべての車種にあてはまるアプリケーションではない」と認めた上で、「BMWの顧客が期待するのはラグジュアリー、パフォーマンス、パワー、ダイナミックなど。顧客はBMWの車に乗ることでプレステージを経験し、車に対する感情的な絆を抱く。それに応えることができ、かつ環境問題にも対応できる技術は水素燃料車だ、というのが我々の回答だ」と説明した。

「FCVは優れた技術だが、パフォーマンスなどは未知数だ。BMWを求める人は、単にエコカーであるだけではなく、一定の期待を持っている。それに応えるためにBMWではアドバンスド・クリーンディーゼル、ハイパワーハイブリッドなどの開発を行っているが、最終的な解決策はやはり水素燃料だと考える。なぜなら水素燃料はCO2を排出しないし、資源としてほぼ無限である。また地球上のどこでもほぼ等しく手に入れることができる資源でもある」

そして水素内燃式のハイドロジェン7のパワーは260hpと、ガソリン車にひけをとらないパフォーマンスを実現できる。この点において、FCVには限界がある、というのがBMWの見解だ。

しかし、ホンダを初めとするFCVが圧縮水素を燃料として用いるのに対し、ハイドロジェン7は液体水素である。その意味で、米国での販売にはインフラ整備という問題点がある。ハイドロジェン7を普及させるためには、最高の水準の水素ステーションを展開する必要があるためだ。

ドイツ国内ではCEP(クリーン・エナジー・パートナーシップ)として、政府主導で水素インフラが進められている。このような政府と民間との共同によるハイレベルなインフラ努力がアメリカでどれだけ行われるかに、ハイドロジェン7の将来はかかっているとも言える。

一方BMWはアメリカで現在唯一全州で販売が認められるクリーンディーゼル技術を有するメーカーでもある。この『5シリーズディーゼル』は07年からアメリカで販売予定だ。その一方、デトロイトではDCX、GMとパートナーシップを組み、SCRテクノロジーという普及型クリーンディーゼルエンジンの開発にも協力している。

こうしたディーゼル技術は最終的な水素エンジンにたどり着くまでの過程と捉えているが、クラマー氏は「アメリカ人のディーゼルに対する見方も過去2年ほどで大きく変化した。クリーンディーゼルはハイブリッドを上回るエコカー技術として今後アメリカで注目を集める、と期待している」と話をしめくくり、BMWが次世代エコカーのリーダーとなるだろう、と発言した。

《Sachiko Hijikata, US editor》

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