以前、内装自慢の日産『ティーダ』と、いちばん安いVW『ゴルフ』を比較試乗したとき、センターラインにキャッツアイがズラッと並ぶ道があった。中央分離帯を兼ねたような特大のキャッツアイである。
試しに時速30km/hをキープして、片輪を乗り上げてみた。ゴルフはへっちゃらだったが、内装自慢のティーダは、フロアとステアリングコラムが激しく振動し、そのせいで定速走行も直進も維持できなくなった。日本車、ダメじゃん。クルマを見た目や広告イメージや値段だけで判断してはいけないと思った。
しかし、『オーリス』なら、こんなことはないはずである。最大の特徴は、足まわりのフトコロの深さ。赤身の太い筋肉を彷彿させるサスペンションは、きわめて限界が高い。1.8リッターモデルなら、サーキットに持ち込んでも、ゴルフGTIよりタイムを出すかもしれない。
ただし、大人のクルマとは思えない。前席を二分する、テカテカしたプラスチックのカタマリ、なんなの、これ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★☆
インテリア/居住性:★★☆☆☆
パワーソース:★★★★☆
フットワーク:★★★★☆
オススメ度:★★★☆☆
下野康史|モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集部を経て、モータージャーナリストに転身。現在はクルマ雑誌を始め、週刊誌のコラムなど幅広く執筆活動を行っている。親しみやすい文体のなかに見える、鋭い着眼点や独特の語り口にファンは多い。