【DSSS公開実験】光ビーコンとDSRCで、適切なタイミングで情報表示

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【DSSS公開実験】光ビーコンとDSRCで、適切なタイミングで情報表示
【DSSS公開実験】光ビーコンとDSRCで、適切なタイミングで情報表示 全 7 枚 拡大写真

2日に報道発表がおこなわれ、5 - 7日に一般公開がおこなわれる栃木DSSSの公道実験では、(1)停止・低速車追突防止情報提供、(2)左折巻き込み情報提供、(3)右直事故防止情報提供の3つのデモが披露される。いずれも光ビーコン、カメラ、DSRCを利用し、精度の高い情報をドライバーに伝えることができるのが特徴だ。

「停止・低速車追突防止情報提供」では見通しの悪いクレフト(起伏)とカーブのある道路において、漫然運転における渋滞末尾への追突防止を抑制する。システムとしては、走行車両の先にある路上カメラが映像認識技術によって渋滞を検知し、光ビーコンで接近してくるクルマ側に伝えるというものだ。

「左折巻き込み情報提供」は、左折しようとするクルマの左側に接近、すり抜けようとする二輪車を検知し、クルマが左折する前に二輪車接近の警告を行う。

このシステムではまず、路上のカメラが映像認識技術によって四輪車と二輪車の位置を検出。DSRCでクルマ側に情報提供する。一方、クルマ側は、光ビーコンで走行車線を把握し、“左折可能レーンを走行中で、なおかつ左折ウインカーを出したとき”にのみ、二輪車接近の警告が表示される仕組みになっている。二輪車接近を常に知らせるのではなく、事故可能性がある状況下でのみ、適切なタイミングで警告を出すのがポイントだ。

「右直事故防止情報提供」も、同様に情報提供のタイミングが重視されている。こちらは交差点において、対向車線を向いたカメラの映像認識で接近してくる四輪車と二輪車を検知。クルマ側は光ビーコンで車線検出をしておき、“右折レーンで交差点に進入し、右折ウインカーが出ている”状況がトリガーとなって、交差点対向車線から接近してくるクルマやバイクの存在をドライバーに知らせる。特にバイクの場合は、併走する四輪車の影で見えないことがあるため、警告画面だけでなく、音声による警告も行うという。

公道実験の試乗時、栃木県はあいにくの小雨模様。今回の実験では、道路上の情報取得に路上カメラによる映像認識システムが使われているため、その検出精度にやや不安を感じたが、実際には3つすべての実験で適切な警告情報が表示された。

「カメラによる映像認識システムは天候の影響を受けます。小雨程度ならば問題ありませんが、悪天候や、逆に晴天時に生じる影の影響を分析し、補正技術を培うのも今回の実験の目的のひとつです」(研究員)

また、今回の試乗で感心したのが、送信エリアが狭い光ビーコンを「走行中の車線検出」で使い、通信速度が速く光ビーコンより送信エリアが広いDSRCを「情報提供」で使うことで、上手な役割分担をしていることだ。これにより"本当に安全支援情報が必要なときだけの警告"という適切なタイミングが実現していた。光ビーコンの設置台数は全国で2万9634台(2006年4月時点。VICSセンター公開資料)。これをDSRCや路上センサーという新しいインフラと組み合わせる取り組みは、既存インフラの活用という点で大きな意義があるだろう。

《神尾寿》

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