これほど速い国産スポーツが存在したであろうか? 答えは否。日産『GT-R』は誰もが認める高性能スーパースポーツである。これまでの次元をはるかに超越しているといっていい。
パワーは強烈のひとこと。ポルシェ「ターボ」と互角に戦える。低回転から7000rpm間で、じつにフラットにトルクが炸裂する。
さらに驚きは、世界のどのマシンと比較しても、スタビリティの高さで優っていること。480psもあると、そのパワーを持て余してしまうというのがこれまでの常識だったのだが、それを完全に覆している。安定感も天下一品なのだ。サーキットを走らせても、世界トップクラスのタイムを叩き出す。
それでいて、静粛性や乗り心地を含めた居住性が、まるで上級セダンのレベルにあるというのだから開いた口が塞がらない。GT-Rは世界で唯一無二の新しい扉を開いたといえるのだ。“全天候型スーパーカー”その言葉がすべてを的確にいい表している。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
木下隆之|モータージャーナリスト
学生時代からモータースポーツをはじめ、出版社・編集部勤務を経て独立。クルマ好きの感動、思いを読者に伝えようとする。短編小説『ジェイズな奴ら』も上梓。日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。「心躍るモデルに高得点を与えるつもり」。