低速で走っているときはコトコトと路面の凹凸を伝えてくるが、速度を上げるとすーっと乗り心地が良くなる。ステアリングを切り込んだときも反力が小さく最初はアレッと思うが、コーナーでは切り足しや切り戻しがスムーズにでき、ハンドル自体の慣性が小さいせいかステアリング操作が楽しくなる。
前者は油圧+密封窒素がつかさどるサスペンション、「ハイドラクティブ3プラス」のなせるワザで、後者はセンターパッド固定式の「センターフィックス・ステアリング」の功績だ。ともにクルマ好きというより「運転好き」の心と身体に訴えてくるものがある。「移動が楽しくなる」シトロエン『C5』ならではの味わいだ。
骨太感のあるスタイルは車幅を『C6』と同等まで広げて実現した感もあるが、存在感はぐっと増した。これならシトロエン・フリーク以外にも受け入れられる。
182cm、85kgの筆者の身体をゆったり受け止めてくれるシートは案に違わず秀逸で、後席の足元がクルマの大きさのわりにはちょっと狭いかな、と感じた以外は文句ない。
路面状況に応じて車高の上げ下げが可能で、さらにツアラーならリアの車高をグッと落として荷物の積み卸しも楽にできるなど、さまざまなワザを使えてセダン2.0が399万円、ツアラー2.0は419万円。このプライスにも説得力がある。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
田畑修|フリーランスライター
1957年東京生まれ。1980年に日刊自動車新聞社に入社し、『輸入車ガイドブック』編集長などを歴任後、1998年からフリーランスに。古き良き時代のクルマ社会に関する記事や自動車産業の動向、参加型モータースポーツのレポートなどを手がける。