トヨタ新社長就任会見…質疑応答

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トヨタ新社長就任会見…質疑応答
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トヨタ自動車は、2期連続の赤字決算というかつてない経営環境。そのなかで登板した豊田章男新社長は「トヨタグループ全員が力を合わせれば必ず『力強いトヨタ』を再構築できる」と、再建への決意を表明。

東京都江東区の「MEGA WEB」内で内山田竹志氏ら5人の副社長とともに就任後初の記者会見となった、質疑応答での発言は以下の通り。

●質疑応答

——創業家からのトップ就任となったが、どう受け止めているか。

豊田 今の時代、誰がトップをやっても大変だと、それが正直なところだ。以前も申し上げたが、豊田の姓に生まれたのは私に選択肢はなかった。ただ、豊田に生まれたお陰で多くの人に出会えたことは確かだし、多くの諸先輩にもご指導いただき、人間形成にプラスだったと感謝している。豊田章男として、信じることを大胆にやっていきたい。社業を通じ、社会に恩返しできるように取り組んでいきたい。

——2期連続の赤字予想だが、黒字転換のメドは? 黒字化へ必要なのは何か。

豊田 現在、懸命に原価改善と固定費の削減で(今年度)8000億円の改善をと、取り組んでいる。これはスタートラインだと見ており、これから少しでも上積みしたい。世界でスクラップインセンティブなどが導入されて需要が出ている。これを追い風として台数増につなげ、収益の改善を図っていきたい。

着実に原価改善などを推進して1期でも早く黒字化を目指す。3期連続の赤字は回避できるようにしたい。外部環境があったとはいえ、赤字は経営陣として忸怩たる思いがある。あくまでも自主的なものだが、7月から役員は月額報酬の一部を返納する。私は3割を返納することにしている。

——トヨタの舵取りのなかで、残すもの、変えなければならないものは何か。

豊田 引き継ぐものは、クルマづくりを通じて社会に貢献していくという創業以来の精神だ。私は11代目の社長としてそうした伝統のタスキを受け取った。このタスキを次の世代にも渡したい。また、マーケットに軸足を置いた事業を身の丈に合わせて進めることが重要で、攻めるべき分野と退くべき分野を、現場の声を聞きながら明確にしていきたいと考えている。

——GM(ゼネラルモーターズ)との米国合弁会社NUMMIの運営はどうするのか。

豊田 GMの現在の生産車種を中止すること以外、何も決まっていない。

——世界的にトヨタの生産能力過剰は300万台程度あるが、どう対処していくのか。

新美篤志副社長 グループの生産能力は約1000万台ある。今は大変厳しいが、中期的には2、3年のうちに需要は回復するだろうと見ている。現在は工場閉鎖などは考えていない。ただ、ユニット工場での「寄せ止め」は順次行っている。

——米国ミシシッピ工場の建設計画はどうなるか。

豊田 北米市場が回復するまで計画は凍結することにしており、現時点で変更はない。

——運転する喜びのあるクルマとはどのようなイメージか。

豊田 クルマには道がついている。欧州、米国、日本、中近東といった地域で道はそれぞれ違う。運転の楽しさも道によって変わる。ただし、A地点からB地点への単なる移動手段にはしたくない。ハンドルを握るドライバーがアクセルやブレーキを操りながら、クルマと道がドライバーのパートナーとなって会話ができるのが私にとってのいいクルマだ。

——若年層のクルマ離れが指摘されるが、その対策は?

豊田 若い人がクルマ離れをしているのか、われわれメーカーが若い人から離れているのか、検証する必要がある。というのも、国内市場活性化策として、われわれとお客様の距離を縮める様々な活動を行っているが、若者がクルマへの興味を失っているわけではないと感じている。クルマを介して、こんな楽しいことができるといったことをもっと伝えれば、若者もついてきてくれるはずだと思う。

——ドン底からのスタートということだが、経営者に求められるものは?

豊田 焦らず、力まず、みんな一緒に心を合わせて頑張ることだ。経営者としてそういう気持ちでやっていきたい。心を合わせ、力を合わせ、それが社内だけでなく販売店や仕入先にも伝わり、様々なガラスが集まって美しく見えるステンドグラスのようにしたい。

——ここ数年、トヨタの強みが発揮できなかったのはどういう点か。

豊田 新体制のトヨタ丸は、嵐の中に海図なき航海に出たところだ。昨日の天気をああこう言う余裕はない。今日の、明日の天気を見ながら前に航行したいと考えている。

——役員人事では外部からの呼び戻しもあったが、その狙いは?

豊田 常務役員を含めて79人の経営チームとなった。ひとり一人にトヨタに力を貸してもらうという観点でグループから幅広く人選した結果、こうなった。得意分野で現地現物を実践できる方をということだ。

——ハイブリッド車の展開計画は早まるのか?

内山田竹志副社長 ラインナップについては積極的にシリーズ展開を進めていく。10年代の早期に年100万台と言ってきたが、それを大きく左右するバッテリーについては10年あたりに100万台が見えるところまでは来ている。ただ、海外では今ひとつ市場が不透明なとこもあるので、(海外生産など)決定までに時間がかかる要素もある。

——レース活動は続けるのか。

豊田 ここに居る人(副社長)たちはやめてくれと言っている。私はレースに出場してはいるが、(勝敗を競う)レースはしていない。ニュルブルクリンク24時間耐久レースへの出場は、このサーキットならではの突き上げるようなタフな道があるからだ。そういう道でもトヨタのクルマが安心して走れるようにと開発にも反映する狙いがある。また、24時間という限られた時間での競技は人材育成にもなる。今後、副社長のアドバイスも受けて考えたいが、今は出る、出ないは言えない。

《池原照雄》

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