米新車販売、1年10か月ぶりの前年実績超え…8月実績

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米新車販売、1年10か月ぶりの前年実績超え…8月実績
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民間調査会社のオートデータ社は1日、8月の米国新車販売の結果を公表した。総販売台数は126万1977台で、前年同月比は1%増。2007年10月以来、1年10か月ぶりにプラスに転じた。これは、7月下旬に導入されたスクラップインセンティブの効果である。

米国ビッグ3は、大きく明暗が分かれる結果。首位のGM(サーブを除く)が24万5066台で、前年同月比は19.9%減。一方、フォードはトヨタに抜かれて2か月続けての3位だが、ボルボを除いた販売台数は17万6000台で、前年同月比は17%増と2か月連続で前年実績を上回った。『フォーカス』が56%増の2万5547台を販売したのが大きい。

クライスラーは日産に抜かれて、7月の5位から6位へ後退。その販売台数は9万3222台で、前年同月比は15.4%減だ。米ビッグ3では、フォードが勝ち組、GMとクライスラーが負け組という構図が浮かび上がる。

日本メーカーのビッグ3では、2か月連続で2位をキープしたトヨタが、前年同月比6.4%増の22万5088台と、2008年4月以来、1年4か月ぶりの前年実績超え。5月下旬にモデルチェンジした『プリウス』が45.7%増の1万8886台、『カローラ』が51.9%増の4万3061台、『カムリ』が28.2%増の5万4396台と、牽引役を果たした。

5か月連続で4位のホンダは、16万1439台を販売。前年同月比は9.9%増と、2008年6月以来、1年2か月ぶりのプラスに転じた。『シビック』が49.6%増の4万3294台、『CR-V』が58.3%増の3万0284台、『フィット』が194.1%増の1万3593台と、大きく販売が上向いている。

日産はクライスラーを抜いて5位になったものの、その販売台数は10万5312台。トヨタ、ホンダとは対照的に、前年同月比は2.9%減と、完全回復まであと一歩だ。主力セダンの『アルティマ』が6.1%増の2万6833台、『セントラ』が78.1%増の1万6396台、『ヴァーサ』(日本名:『ティーダ』『ティーダラティオ』)が131.8%増の1万8580台と、燃費のいい小型車を中心にセールスを伸ばした。

ビッグ6に続く7位が定位置のヒュンダイは、前年同月比47%増の6万0467台と2か月連続のプラス。8位のキアは60.4%増の4万0198台と、こちらも2か月連続のプラスだ。とくにキアの60.4%増は、全メーカー中、最も高い伸び率である。

9位のフォルクスワーゲングループ(アウディなどを含む)は、前年同月比14.1%増の3万3008台と久々の前年実績超え。VWブランドが11.4%増の2万4823台、アウディブランドが25.8%増の8057台と回復した。VWは『ジェッタ』が14.8%増の1万2872台、アウディは『A4』が79%増の3823台と人気だ。

2か月続けて10位のスバルは、前年同月比51.5%増の2万8683台と引き続き好調。『レガシィ』が49%増、『アウトバック』が53%増、『フォレスター』が76%増、『インプレッサ』が30%増と売れている。

11位のマツダも前年同月比12.1%増の2万6542台と、久しぶりのプラス。『マツダ3』(日本名:『アクセラ』)が33.3%増、『マツダ6』(日本名:『アテンザ』)が11.3%増となるなど、好調ぶりが目立った。

しかし、ドイツの2大高級ブランドは不振。12位のBMW(MINIなどを含む)は、前年同月比21.3%減の2万4367台。13位のダイムラー(メルセデスベンツとスマート)は10.4%減の1万8757台にとどまった。これは米国版スクラップインセンティブが、車両価格4万5000ドル(約420万円)以上の高額車を対象外としていたことと関係がある。

以下、三菱が25.9%減の6813台、スズキが5.5%減の5749台、ジャガー&ランドローバーが4.8%減の3160台、ポルシェが8.7%増の1526台。スウェーデン2社は、ボルボが新型『XC60』効果により24.8%増の5826台、サーブは67.8%減の484台と明暗を分けた。

米国市場の回復は、7月下旬から8月24日までの約1か月間実施された「CARS」(カー・アローワンス・リベート・システム)の効果。CARSは米国版スクラップインセンティブのことで、旧車(1984年式以降で燃費は7.6km/リットル以下)から一定の燃費基準を満たした新車に代替する際に、政府が下取り車と引き換えに最大4500ドル(約43万円)分の金券を支給する内容だった。

このCARSには1か月間で、約70万件もの申し込みが殺到。米国政府の30億ドル(約2790億円)の予算は瞬く間に底を突いたことから、米国政府は24日、早々と制度を打ち切った。

世界経済の中心である米国の新車需要回復は、明るいニュース。だが、このスクラップインセンティブが終了した反動で、9月以降の新車販売が再び冷え込むとの見方も強い。

《森脇稔》

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