トヨタ反論、米国IIHSの安全性評価に

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米国トヨタ販売は、18日にIIHS(道路安全保険協会)が公表した「2010トップセーフティピック」にトヨタ車が1台も選出されなかったことに対して、アーヴ・ミラー副社長の名前で反論コメントを発表した。

IIHSの衝突テストは前面オフセット64km/h、側面50km/h、後方32km/hで実施。ダミー人形が受けた傷害レベルに応じて、GOOD(優)、ACCEPTABLE(良)、MARGINAL(可)、POOR(不可)の4段階で評価する。IIHSは総合評価でGOOD(優)となった車を、「トップセーフティピック」に認定し、衝突安全面でのお墨付きを与えている。

2010年モデルのトップセーフティピックは、全27台。メーカー別ではスバルが5車種と最多で、フォルクスワーゲン、ボルボ、クライスラーが4車種、ホンダ、GM、フォードが2車種などとなった。

ところが、前回は全11車種がトップセーフティピックに輝いたトヨタ(レクサスとサイオンを含む)は、今回はゼロ。IIHSは「世界最大の自動車メーカーから1車種も選ばれなかったのは、予想外の出来事」とプレスリリースに掲載した。

これについて米国トヨタが、アーヴ・ミラー副社長の名前で声明を発表。「トヨタは今日、世界で最も安全な車を作るメーカーのひとつと自負しており、高水準の安全性と品質は、トヨタのコミットメントでもあります」とコメント。さらに「前回のトップセーフティピックでは11車種が選ばれましたが、その後もパッシブ/アクティブの両面から、安全性向上に取り組んできました」と、強調した。

今回、トヨタが選ばれなかった最大の理由とされるのが、IIHSが今年から開始したルーフ強度テストだ。IIHSは今年3月、横転事故を想定したルーフ強度テストを安全性の判定基準に追加すると発表。テストは鉄板を一定の速度で運転席側ボディサイド上部にぶつけ、車両重量の何倍の荷重にルーフが耐えたかを示す「ストレングス・トゥ・ウェイトレシオ」という方式で安全性を判定する。

ストレングス・トゥ・ウェイトレシオは、GOOD(優)評価が4以上、ACCEPTABLE(良)評価が3.25以上、MARGINAL(可)評価が2.5以上、POOR(不可)評価が2.5以下。現在、米国政府が定めているストレングス・トゥ・ウェイトレシオは1.5以上だが、IIHSの判定基準はそれを上回るものだ。

このルーフ強度テストにおいて、トヨタ車の評価が低かったことが、今回の結果につながったと見られる。しかし、トヨタは「IIHSはトヨタ車38車種のうち、『カムリ』『RAV4』『ヤリス』(日本名:『ヴィッツ』)の3車種でしか、ルーフ強度テストを実施していない」と説明。IIHSのトップセーフティピックの選考方法に疑問を投げかけ、「今回のIIHSのリストは、ひとつの結果に過ぎない」との声明を発表している。

確かにIIHSのテスト結果には、首をかしげるものもある。例えば、今年6月に公表した小型車の修理費用に関するテストでは、SUVのようなバンパー位置の高い車を想定したバリアに小型車をぶつけ、「トヨタヤリス(ヴィッツ)とホンダ『フィット』のバンパーは、本来の機能を発揮しておらず、修理費用が高く付く」と結論。また、7月に行った小型2ドアクーペ3台の衝突テストでは、前面・側面・後方の3テストを受けたトヨタのサイオン『tC』よりも、前面・側面の2テストのみのGMシボレー『コバルト』を高評価とした。「コバルトのテストは後で行う」というのがIIHSの説明だった。

今回IIHSは、トヨタ傘下のスバルの米国全5車種をトップセーフティピックに認定。それだけに、トヨタも黙っていられなかったという部分もあるようだ。果たして、IIHSとトヨタ、正しいのはどっち?

《森脇稔》

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