マイクロソフトの車載プラットフォーム『Microsoft Auto』をベースにキアが開発した車載システムが『UVO』(ユーヴォ)だ。
UVOは、フォード『SYNC』、フィアット『Blue&Me』に続く、3番目のマイクロソフトと自動車メーカーとのコラボレーション車載プラットフォームだ。プラットフォームと言うと分かりづらいが、オーディオやラジオまたはナビゲーションの操作、あるいは携帯電話/スマートフォンや『iPod』などのメディアプレーヤとの接続機能(コネクティビティ)、バックカメラなどとの連動をHMI(ユーマン・マシン・インターフェース)と統合した車載システムと考えてもらえばいいだろう。
UVOはマイクロソフトのEnbedded(組み込み機器向けOS)ファミリーであるMicrosoft Auto 4.0がベース。フォードSYNCやフィアットBlue&Meの一部のオプションではナビゲーションとの連動もあるが、UVOでのコネクトはケータイのBluetoothハンズフリー機能のみで、バリエーションも単一だ。異なるフェイスのデモ端末は複数展示されていたが、機能面は同一だという。
大きな特長は、音声機能。UVOでは楽曲検索や選曲などのオーディオコントロール、ハンズフリーの操作などが音声入力により可能だが、認識率・精度にすぐれ、英語、カナダ仏語、そしてスペイン語の多言語対応となっている。またSMSの読み上げ機能(TTS:Text to Speech)にも対応している。
キアのJames Roby氏によれば「キアの購入層はコストパフォーマンスを重視するため、ナビゲーション機能は取り込まず単一のシステムとし、スタイリッシュな外観と音声入力やタッチパネルによる簡便な操作性を追求した」と語る。
デジタル放送の『シリウスサテライトラジオ』や『HDラジオ』にも対応し、CDリッピング機能やバックカメラ連携も備える。メディアプレーヤー連携は、iPodやZuneなどの対応プレーヤーであれば、USBケーブルでの接続で音声入力コントロールが可能。非対応プレーヤーでもAUXジャックでの再生が可能だ。ハードキーについてはタッチ時に光りと音声で知らせるフィードバック機能もある。
総じてシンプルなシステムという印象だが、音声認識やタッチパネルの設計、マルチメディアプレーヤーやBluetoothによる携帯電話との接続といった個々のさまざまな機能を統合するにはメーカにとって相応の開発費と時間が必要だ。Roby氏は「多彩に応用可能な車載プラットフォームであるMicrosoft Autoを利用することでコスト面と開発スピードを圧縮できた。フォードSYNCのように、バージョンアップによる機能追加も予定している」と説明する。
価格については、「まだ未定」(Roby氏)とのことだが、「通常のオーディオと比較して大きなコストアップにはならないだろう。音声認識やプレーヤー連携などでユーザーメリットを強調すれば、多少のエクストラコストを支払ってでもUVOを選ぶという流れにしていきたい」と述べた。
UVOを搭載するモデルは、2011年モデルとしてこの夏以降に登場するSUV『ソレント』が予定されている。