【ホンダ CR-Z 試乗】多くの人が忘れたクルマの楽しさ…西川淳

試乗記 国産車
CR-Zと西川淳氏
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ホンダは『CR-Z』をスポーツカーとまず称されることに抵抗があるらしい。彼らの思うスポーツカーとは、もっとハードなもの、たとえばエンジンにしてもタイプR級のキンキンに回ってくれるやつを積むクルマ、だからだろうし、スポーツカーという言葉が好ましくない予断を与えるという気持ちも、分からないでもない。

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もっと言えばホンダはこれまでにスポーツカーをそれほど作ってきたわけじゃない。モータースポーツのイメージがモノを言っているだけだ。純粋にスポーツカー(狭義)と呼べるのは、ホンダ『S』と『NSX』、『ビート』、『S2000』くらいじゃないだろうか。他メーカーに比べて目立って多いわけじゃない。ミニバンにせよ、スポーツカーにせよ、ホンダの魅力は革新性=工夫にある。

ただ、スポーツカーの定義は難しい。一般的には見た感じ=形で言うだろうし、形はどうであれエンジンやハンドリングの高性能っぷりで言う“好き者”もいる。操る一体感をバランスよく楽しめるクルマをスポーツカーという人もいていい。軽トラだってスポーツカーになりうるし、早い話が乗る人の感じ方次第で、乗り物ならすべからく“スポーツ”にできる。アメリカにはトレーラーヘッドのレースだってある。

CR-Zは、やっぱりスポーツカーだ。形がまず、そうだ。靴にたとえるなら、ランニングシューズの形をしている。革靴には見えない(もちろん、革靴で全力疾走するのが好きな人がいても構わないが)。乗ってみても、特にMTには手足によく馴染んで機械を操る楽しさがある。エンジンとミッションのフィールに物足りなさを覚えるものの、この価格とハイブリッドシステムという昨年来の必需品が備わっていることを考えれば、十分満足できる内容だと思う。

クルマを楽しむ。多くの人が忘れ、経験もしないうちに時代遅れになりかかったこのフレーズに、再び復活のチャンスがやってきたことを、クルマ好きとして素直に喜びたい。MTを注文した人に、特に拍手! CVTで流すのもいいけれど、CR-ZはMTで乗りたいクルマだ。

西川淳|自動車ライター/編集者
産業から経済、歴史、文化、工学まで俯瞰して自動車を眺めることを理想とする。高額車、スポーツカー、輸入車、クラシックカーといった趣味の領域が得意。中古車事情にも通じる。永遠のスーパーカー少年。自動車における趣味と実用の建設的な分離と両立が最近のテーマ。精密機械工学部出身。

《西川淳》

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