[大人の夏休み]レーサーになる…スタート前から耐久は始まった!

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AIOCの耐久参戦用車両はレースが行われる前週まで、仕事を終えたメンバーが集まりながら準備が進められた。写真はカッティングシートでロゴを貼る作業
AIOCの耐久参戦用車両はレースが行われる前週まで、仕事を終えたメンバーが集まりながら準備が進められた。写真はカッティングシートでロゴを貼る作業 全 4 枚 拡大写真

密着取材を行ってみて初めて分かった。アイドラーズ12時間+9分間耐久レースの戦いは、とてつもなく長い戦いだった。

タイムスケジュールだけを見れば、早朝8時にローリングスタートが切られて日没後の20時9分にチェッカーフラッグが振られるホビーレースイベントである。しかし、前日からすでにツインリンクもてぎに向けたロジスティックは始まっており、これら移動と準備を含めての長時間耐久レースなのだといきなり思い知らされた次第だ。

レース前日の17日夜21時すぎ。通常営業を終えた「フィアット江戸川/アルファロメオ江戸川」(東京都)の社屋のまわりに人だかりができている。その中央にはレーシングカーとしての化粧であるスポンサーステッカーが誇らしくも貼られた「AIOC145」を積む車載ローダーが鎮座していた。

ホビーレースの多くはサーキットのスポーツ走行を中心に開催されるためにナンバー付き車両のエントラントが大勢だが、AIOCが所有するアルファロメオ145は登録を抹消してサーキット走行専用の車両として第2のクルマ人生を歩んでいる。

やがて、AIOCの耐久参加メンバーたちはそれぞれのマイカーに分乗して栃木県のツインリンクもてぎを目指した。時計の針は、まだ18日になったばかりである。

サーキットに到着したAIOCのメンバーたちは、大事なレース車両を割り当てられたピットに運びこみ、ホスピタリティテントの設営を始めた。レース当日の気温は35度を超える猛暑が予想されているため、スポットクーラーの設置や熱中症予防のための飲料をクーラーボックスに大量に用意するなど準備に余念がない。

まだレーシングカーが走り始める時間でもないためか、ホスピタリティテントのなかだけを見るとキャンプかなにかのレジャーに来たかのような錯覚にとらわれる。やがて準備がある程度整って安心したのか、仮眠をとるメンバーもちらほらと見かけた。目が覚めれば長くて熱い1日の始まりだ。体調管理と体力温存は、長時間耐久レースの隠れたハードルではないかと感じた次第だ。

そうこうしている間にも次々とエントラントのレース車両がピット内に集まってくる。ツインリンクもてぎの車載ローダー駐車場を覗くと全国津々浦々のレンタカーナンバーが散見された。本当にこの耐久イベントは全国の愛好家たちに愛され守られているレースイベントなのだと実感した。

AIOCのメンバーがチームの戦略監督の号令によってレースカーの周囲に集まってきた。予定されたドライバー順にドライバー交代の練習を始める。レギュレーションによって、ピットインしてきたクルマに触れる人数が制限されているために、確実な作業ローテーションも成績を左右してしまうのだそうだ。

確かに、ピットインしてきてスティントを終えたドライバーがゆっくりとクルマから降りてきただけで数秒のロスを喫し、流れるような交代作業ができなければそれだけでさらに数秒のロス……。コース上で秒の単位でタイムを削るのは至難の業なのだから、こうした作業がすばやく確実に出来るか否かはチームの質を問う重要な場面なのだろう。だんだんメンバーの表情が真剣になってきた。

日の出を迎え、すべてのピットに活気がみなぎってきた。レース前の車検も始まる。灯火類チェックから燃料補給を行う際の給油タンクの検査、ヘルメットやスーツなどドライバーの装備品チェックに至るまで、簡素ではあるが必要最小限の安全チェックが行われている様は、取材者としても安心できた一場面である。

やがてドライバーズミーティングが行われ、いよいよレースカーがホームストレート上のダミーグリッドに運び出される。AIOC145のグリッドは65番手。アイドラーズ耐久は大きく3つに分けたクラスのなかで、なんと早朝のくじ引きで予選順位が決定する。103台ものクルマで予選を行うことなど不可能に近いし、より安全なローリングスタート方式だからこうしたルールもアリなのだろう。

2010年7月18日、午前8時6分、12時間+9分間の公式計時がスタート。全103台による、本当に、本当に長い1日が始まった……。

アルファロメオ江戸川
supported by フィアット/アルファロメオ江戸川

《編集部》

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