2人死傷事故、ひき逃げについては無罪---認識がない

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昨年11月、滋賀県草津市内で漫然運転が原因で2人をひき逃げして死傷させたとして、道路交通法違反の罪に問われた31歳の女に対する判決公判が16日、大津地裁で開かれた。裁判所はひき逃げについては無罪を言い渡している。

起訴状によると、問題の事故は2009年11月6日夕方に発生した。草津市矢橋町付近の市道で、道路左側の路肩を歩いていた高齢の男女に対し、後ろから進行してきた軽乗用車が衝突。69歳の男性が頭部強打でまもなく死亡し、63歳(当時)の女性が腰骨などを折る重傷を負った。

クルマはそのまま逃走したが、警察は後に31歳の女を自動車運転過失致死傷容疑で逮捕。女は「カーステレオの操作をしていて、前をよく見ていなかった」と供述しながらも、「人をはねた認識は無い」と強固に主張したため、検察は道交法違反(ひき逃げ)容疑については嫌疑不十分で不起訴としていた。

しかし、被害者遺族の求めによって再捜査を行った結果、「ひき逃げが構成される」と判断。7月に道交法違反の罪で起訴していた。別に行われている自動車運転過失致死傷を問う公判では今年11月に大阪高裁が禁固2年の実刑を命じ、これを不服とした被告側は上告している。

検察側はこれまでの公判で「フロントガラスの左半分が損壊したことは被告も認識しており、何かに当たったことはすぐにわかったはずだ」と主張してきたが、16日に行われた判決公判で、大津地裁の澤田正彦裁判官は「現場にブレーキ痕は無く、被告が被害者を認識していたとは言えない」として、これを退けた。

さらに裁判官は被告が人身事故と認識しないまま容疑車両を修理工場に持ち込んでいたことに触れ、「修理工場で人身事故が見抜かれたが、事故後に被告が証隠滅工作を行っていないことが認められることでもある」と指摘。被告に「人をひいたという認識があったかどうかについて、合理的な疑いを挟む余地がある」として、被告に対して無罪を言い渡している。

一方、裁判官は「この判決はひき逃げについての刑事責任が認められないという判断であり、事故を起こした道義的責任は今後あなたが考えなくてはならない」と被告に対しての説諭を行っている。

《石田真一》

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