「ジーンズが690円。セットだとそれより高い740円のハンバーガー」と、日本マクドナルドの原田泳幸代表取締役会長兼社長兼CEOは語る。マクドナルドはアメリカンテイストのハンバーガーシリーズ「Big America2」を7日より順次発売する。
2011年にマクドナルドは日本登場40周年を迎える。スローガンは“Make Wow”=ワオと言わせる。今年最初の戦略的新商品Big America2は、4分の1ポンドビーフパティ(通常の約2.5倍)を主役にし、アメリカンテイストを実現したハンバーガーシリーズだ。
原田CEOは5日の記者会見で、現在の経済状況についてデフレだと悲観しなくて良いと述べた。「安いものだけが売れているのではない。ハイブリッドカー、地上波デジタルTV、パン焼き機などプレミアム商品も売れている。市場は二極化している」。
日本マクドナルドの2010年度の全店売上高は5427億円で過去最高。12月度の既存店売上高は対前年同期比+11.6%、伸び率は10年度最高となった。12月度の営業店舗数は前年比−11.2%ながら、1店舗当たりの売上高は+18.6%となり、戦略的閉店が奏功したと同社は分析する。
2010年は1月から販売した「Big America」シリーズがヒットし、12月はその中から「テキサスバーガー」を再登場させ好業績を収めた。この勢いをBig America2につなげることをもくろむ。
業績好調の理由は、独自性、“らしさ”を追求したこと、と原田CEO。「音楽を聴いたとき、メニューを見たとき“これがマクドナルドだ”と感じる。それがブランドというものだ。コモディティ(誰にでもできるもの)は価格競争にしかならない」。
原田CEOはまた、グローバルブランドには国籍があると指摘する。「例えばトヨタが日本の企業であるように、マクドナルドはアメリカの企業だ。それは変えない」。03年まで日本マクドナルドの業績は対前年比マイナスが7年続いた。原因は「外因ではなかった。“マクドナルドらしさ”を失っていた」という。
成功のもうひとつの秘訣として原田CEOは投資をあげる。人材、店舗、厨房に投資した。「他の外食産業と比べてレベルが違う」と自負する。
新年の業績予想については「11年の外食産業は予見できない。マクドナルドは年間15億人が利用するから、いかに機敏にナビゲーションしていくかが重要だ。個人的な、ざっくりとした感覚では、対前年比フラットか」と述べる。
「やろうと思っていることと、今やっていることとのギャップをどのように埋めるかが、転換点となる」